第12話 ペルソナ

 ━━……俺の犯した罪は、あの時ジュリィを止められなかったこと。そして、星の結晶を……


 今となっては分からない。なんであんなことをしたのか。ジュリィのためにやったことが裏目に出てしまったのだろうか。それとも、自分が死にたくなかったからか。


 もしかしたら、ジュリィのためというのは嘘かもしれない。人は、ペルソナ無しでは生きてはいけないから。


「……でも、この気持ちは……ジュリィに対する愛は……嘘じゃないんだ。この気持ちにペルソナは必要が無いんだ……!」


 ━━━━━━━━………………


「いいいやぁぁぁぁぁ!」


 威勢のいい可愛い声と共にとんでもない斬撃が星の怪物を襲う。しかし、その斬撃はあっさり弾かれてしまった。


 そして、星の怪物は手を爪のように変えると、容赦なくジュリィを襲う。


「ジュリィ!」


 キシルはそう叫ぶとギリギリのところでジュリィを助けた。


「キシル……」


「バカ、いつものお前らしくねぇじゃねぇか。なんだよ、あの咆哮は?」


「……だって、憎いんだもん。……怒りが抑え込めないんだもん!」


「それでも!冷静になれ!どんなに相手が憎くても、どんなに怒りが抑えらなくても、冷静になれ!」


「矛盾!そんなこと出来るわけない!あなたには父が死ぬ苦しみが分からない!あったものが無くなる辛さは分からない!」


「……」


「どうしたの?そんなくらい顔をして……」


「……分からないよ。だって、俺には初めから無いもん。皆は初めはあるけど、俺は無い。だから、その苦しみも辛さも何も分からない。でも、孤独という地獄だけは知っている」


「……あぅ、ごめんなさい……」


 ジュリィはキシルの言葉を聞いて、涙を流した。


「……ほら、泣くなよ。俺は失う苦しみを知らない。だから、ジュリィがいなくなったら俺は耐えきれないと思う」


 キシルのその言葉を聞いたジュリィは言葉を失った。しかし、すぐに涙を拭うと立ち上がり言う。


「謝罪。知りもしないで勝手なことを……それと、目が覚めた」


「へっ、それなら良かったよ。お前があんな叫びながら切るところ初めて見たからな」


「……恥辱……」


「だからなんでそうなる!?……はぁ、まあいいや。やるぞ」


「ん!」


 2人は再び決意を固めると、さっきよりも鋭い動きで星の怪物に迫っていく。キシルは星の怪物の前で光のスピードで動き回り翻弄する。そして、その隙にジュリィが怪物の背中を捉えた。


「捉えた」


「やれ!」


「ん!”ペルセウスソード”」


 凄まじい威力の斬撃が怪物を襲う。しかし、それは怪物には通用しなかった。

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