第10話 決意と約束
━━……そう言えば、星が降り始めて今日がちょうど3年目だ。まぁ、正確に言えば、あと25分でジャスト3年になる。
そう、あの日から俺は1人になった。……1人で生きていくと決めた。
そう言えば、ジュリィはどうしてるだろうか?やっぱり1人で悲しいんだろうな。早く会いたい。
でも、会えるかなんて分からない。それでももし希望があるなら、俺は、何年でも、何十年でも、君の帰りを待つよ。
「……あ、あと1つで7万7777個だ」
そう思って顔を上げると、最初の平原に星が落ちたのを確認した。
「これで、会えるのかな?」
例え会えないとしても、会えると信じて俺は、星の怪物を倒し続ける。
これは、復讐じゃない。願いだ。
「……フフ、そう言ってもどうせジュリィは……虚偽、とか言って頬を膨らませるんだろうな」
そんなことを思うと涙が溢れてきた。キシルはその涙を拭うと再び平原に向けて走り出した。
━━━━━━━━………………
「……なぁ、ジュリィ……星の怪物っていつ来るの?」
キシルはジュリィが落ち着いたのを見ると、部屋の中で優しく聞いた。
「……
「やっぱりか。今日……なんだな」
その言葉にジュリィはこくりと頷く。
「はぁ……考えてみれば、今日は3年ぶりの流星群が見られる日だからな」
「その流星群……その1つの星が落ちる時、この世界に星の怪物が現れる」
「その怪物を倒せばいいわけだな」
その言葉に再びジュリィはこくりと頷く。
そして、キシルはジュリィに向き合うと、いつもより神妙な顔をして言った。
「……なぁ、俺さ、星の怪物を倒したら改めてジュリィに言いたいことがあるんだ」
「疑問?」
「でも、今は忙しいから言えないけど、全てが片付いたらさ、あの星の下で会おうよ。そしたらそこで伝えるから」
「……了解。……死なないでね」
「当たり前だろ。言葉には責任が付き纏う。たとえ何年後になったとしても、必ずこの星の下でジュリィに伝える」
そう言って小指をピンッと立て、ジュリィの前に突き出した。
「……待ってる。だから、キシルも待ってて。私も伝えたいことがあるから」
ジュリィも同じように小指を立てる。そして、2人は小指を絡めると優しく微笑んで言った。
「もう一度約束だ。必ず怪物を倒して星の下で会おう」
「ん!約束」
そうして2人は約束をした。しかし、その約束が果たされることは無かった。
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