第8話 星の気まぐれ

 ━━……星と言うのは気まぐれだ。何時どこでいくつ降ってくるのか分からない。3年間倒し続けたが、それでも法則など見つからなかった。


「……そう言えばジュリィも気まぐれだったなぁ……普段無口なくせに、俺の前だとペラペラ喋るし、突拍子もないこと言ってくるし……でも、楽しかったんだよな」


 そんな言葉が静寂に包まれた森の中に溶け込んで行く。空にはまだ星は降っている。


「また会いたいよ。あの突拍子もないこと言って笑っていたい。ジュリィ……」


 ━━━━━━━━………………


「ねぇ、キシル……服を脱いで」


 2人がジュリィの部屋で話していると突然ジュリィがそんなことを言ってきた。


「何だまた突拍子もないこと言い出して」


「疑問。この本に書いてある。男女2人は裸で寝るって」


「あーね、それね。……まぁいいか」


 キシルは何かを考えるような仕草をしたが、すぐに服を脱ぎ始めた。


「ほら、脱いだよ。さ、寝よ」


「待って」


「ん?まだなにかあるの?」


 キシルは恐る恐る聞いてみた。全てやったはずだ。風呂に入り、作戦を練って、服を脱いだ。他に何が……!?


「これなに?」


 そう言って本を出してきた。そして、指を指す。そこには男女でえっちぃことをして子供を作るとか何とか書いてあった。


「え?いや、何だろうな。分からないなぁ」


虚偽きょぎ。あなたは嘘をついている。教えて?」


「いや、教えてって言わてもなぁ……これに関してはまぁ良くないんだよな」


「ダメ。教えないならこの剣で斬る」


「はい……わかりました。教えます……」


 キシルは泣きながら教えることにした。


「ジュリィは子供の作り方って知ってる?」


 その問いにジュリィはふるふると首を横にふる。


「先ずね、ごにょごにょをごにょごにょしてごにょごにょすると出来るんだよ」


 キシルがそれを言い終える頃にはジュリィは顔を真っ赤にしていた。そして、なんだかモジモジとしながらキシルの胸に顔を埋めて言ってきた。


「もごもごモゴモゴ……」


「ごめん……何言ってるかわかんない」


「……キシル……やろ」


「やらない」


「斬……」


「やります」


「ありがとう。やっぱりキシルは優しいね。私初めてだから痛くしないで」


「なんだそれ?まるで俺が2回も3回もやったことがあるみたいな言い方だな」


「疑問。ないの?」


「……」


 キシルは何も言わずに目を逸らした。


「……まぁいいや。俺は何回か練習したから多分大丈夫だよ」


「嬉しい。これでキシルと融合して新たなる生物を生み出すことが出来るなんて……」


「おい待て、なんだそれ、絶対にクリーチャーしか生まれないだろ」


「……恥辱」


「だからなんでそうなる?どこに辱めるような言葉が入っていた?」


「……キシル……良いから早くして。斬るよ」


「はいすみません」


 キシルは慌ててベッドの中に入った。そして、ジュリィを呼ぶ。ジュリィはてくてくとベッドに向かって歩いてくると、流れるようにベッドの中に飛び込んだ。


 そして、キシルはジュリィの初めてを貰った。最初はジュリィもかなり辛そうだったが、途中から慣れたのか快感に変わったとか言い出した。


「……キシル……ここも」


 そう言って唇を指さす。キシルは言われた通りその唇も貰った。


 だからか、その日の夜は普段より長く、暖かかった。


「……ぷはぁ……ねぇキシル」


「何?」


「ベンチとベッド、どっちが良い?」


「……いや、それ今聞く?まぁいいや。そうだな、ベッドかな。ベンチは痛いから」


「ふふ」


 ジュリィはキシルの言葉に小さく笑う。


 そして、その後もなんやかんや突拍子もない事を言われて夜は明けた。

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