第7話 ジュリィの過去
━━……幸せとはなんだろうか?夢を叶えること?復習を果たすこと?約束を守ること?
いいや違う。本当の幸せというのは大切な人と一緒にいることが出来ること。
俺は、このことを考えるといつも思う。
「君といられることがどんなに幸せだったか、失って始めてわかったよ」
━━━━━━━━………………
「それで、どうやって星の怪物を倒すんだ?」
2人はジュリィの部屋に戻ると話を始めた。
「簡単。私が星の怪物をおびき寄せる。その隙に後ろから首を切って」
「本当に簡単だな。首が切れない場合は?」
「役割を逆にする。私が切るから囮になって」
「了解。それじゃあ、両方とも切れない場合は?」
「2人同時に切る。私が前から、キシルが後ろから」
そして、ジュリィはたんたんと作戦を話していく。その作戦は、誰が聞いても完璧だった。
「なぁ、最後に1ついいか?」
「何?」
「なんでそんなに星の怪物について知ってるの?」
その問いにジュリィは顔を暗くして俯かせる。
「……ごめん……今のは忘れて……」
「いや、良い。話す。……私は物心が着いた時には既に母が他界してた。父は最強の冒険者で、私はそんな父を尊敬していた。ある日、この街に星が降った。その星は落ちた途端波動を放ち、怪物を生み出した。私の父は、何とかその怪物を倒したけど、その時に……」
キシルは話しながらなくジュリィの口を指で抑えた。そして、もう良いよ、というかのように首を振る。
「星の怪物は私の目指すところ。必ず倒す」
そう言って再び決意を固めた。
「……戦う時は、必ず俺を呼んでね。力になってあげられるかは分からないけどさ」
「ん。感謝」
「……わかってくれたなら良いよ」
「それと、キシルは強い」
「そうか?ありがとな」
「キシルはもしかしたら私より強いかもしれない」
「そんなことねぇよ。ジュリィのほ……」
「キシルは自分ではわかってないだけ。きっと、私より強い」
「うん。ありがとう。そして、そこにお尻を出しなさい。人の話を聞かないとどうなるか教えてあげる」
「……恥辱」
「そんなこと言って逃れようとしてもダメ。こういう時はちゃんと謝らないと」
「……失敬……ごめんなさい。私はお父さんがいないから空気を読むこととか学んでこなかったから……」
「ごめんなさい。俺が悪かったです。お父さんの名前を出さないでください。罪悪感に包まれて死にそうです」
「……勝利」
今回の戦いは、何故かキシルが謝らせられるという結果に終わった。
「でもさ、星の怪物って、本当に倒さないとダメなの?」
「疑問……?」
「だってさ、復讐するだけのつもりなら何も得られるものはないからさ」
「そう……ごめんなさい」
「いや、謝らなくていいよ。ただ、力ってのはブーメランなんだ。負の力を使えば負の事が自分に帰ってくる。正の力を使えば正の事が帰ってくる」
「……詳しいのね」
「まぁな、俺も1度経験してるからさ」
キシルのその言葉でシリアスな空気がその場を包む。どこか遠い目をして言うキシルをジュリィはただ見つめることしか出来なかった。
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