第5話 星の波動

 ━━……そこにあったのは、人の屍だった。恐らく星が落ちた時の余波で死んでしまったのだろう。


 星が落ちるとその星から怪物が現れる。その怪物が現れる時、一定の範囲内で波動が起こる。その波動を受けたものは、だいたい死ぬ。


 だから、波動には気をつけなければならない。


「まぁ、俺とジュリィには関係ないな」


 気がつけば、後ろに星の怪物がいた。キシルはその怪物を剣一振で倒す。


「また1個星の結晶を手に入れた。……いつになったら会えるんだろう。早く会いたいよ。ジュリィ……」


 ━━━━━━━━━………………


「星の怪物を倒すには、波動に気をつけないとダメ。波動を喰らえば死ぬ」


 2人で街中を歩いていると、突然ジュリィがそんなことを言い出した。


「突然どうした?」


「……キシルくんには、言っておきたかったから……」


「そうか……可愛いヤツめ」


「……恥辱……」


「いや、そんな泣くなよ。からかって悪かったから」


「……キシル……」


「……あぁもう!わかったよ!ほら、こっちにおいで」


 キシルはそう言って立ち止まった。すると、ジュリィはてくてくと走ってキシルの前まで行く。そして、キシルに飛びついた。


「お前なぁ……その、すぐ抱っこをねだってくる癖やめろよな」


「やだ」


「やだって……あ、じゃあ、今なら俺が何しても許してくれるんだよな?」


 キシルはそう言ってジュリィのお尻を揉んだ。しかし、ジュリィは動じることなくキシルの胸に顔を埋める。


「あれ?もしかして怒った?……ごめん……」


「相違。怒ってない。……ただ、恥ずかしいだけ……お尻、揉まれると、恥ずかしい……」


 ジュリィはキシルの胸に顔を埋めてそう言ってくる。


「可愛いな」


「いじわる……」


「フフ……そう言えばだけどさ、波動ってどうして起きるんだ?」


「……波動は星から怪物が生まれる時に放たれる。それに触れれば体の細胞は破壊される」


「要するに、死ぬってことだな」


「ん。だから、星の怪物と戦う時は、生まれるまで待たないといけない。波動に触れることは絶対にダメ」


「そうだな」


 2人は改めて星の脅威を感じた。


「ん?もうこんな時間か……」


 気がつけば、既に日が落ち始めていた。今の時間はだいたい19時前後だろう。


「もう帰る時間か……」


「待って、私の家に来て」


「ん?どうした?いつもはそんなこと言わないのに……」


「いつもは恥ずかしいだけ。でも、今日やっと言えた。それに、キシルがいつもとこで寝てるか知ってる。だから、心配」


「え?知ってたのか?」


「ん。キシルはいつも広場のベンチで寝ている。それじゃ風邪ひく。私の家に来て」


 ジュリィはそう言ってキシルの腕から飛び降りると、キシルの手を握った。そして、キシルの手を引っ張って家に向かった。

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