第4話 星の結晶

 ━━……星の結晶。星の怪物を倒した時に現れる結晶。集めれば、願いが叶うと言われる。だが、いくつ集めればいいかなんて分からない。今、7万7773個持っている。あと4個で7のゾロ目が4回目となる。


 別に7のゾロ目だから願いが叶う訳では無い。でも、それでも少しでも希望があるなら……俺は……!


 おっと、もう1匹……いや、3匹ほど落ちたな。場所は……森か。さて、倒しに行くか。


 いつか、ジュリィとこの星の怪物を倒すため。そして、ジュリィに愛を誓うため。


「ジュリィ……好きだよ。今も昔もこれからも……」


 その言葉は星の降る空に溶け込んで行った。


 ━━━━━━━━━━………………


「……」


「ジュリィ!右だ!」


 カキンッ!という音が聞こえる。その音と共にゴリアテの右腕が弾かれる。その隙にキシルはゴリアテの胸元を深く切り裂いた。


「今だ!ジュリィ!」


「ん!了解」


 ゴリアテは胸を切り裂かれ体をふらつかせる。その隙にジュリィはゴリアテの首を切り裂いた。


 ゴァァァァァァァ!!!!!


 ゴリアテの断末魔が聞こえる。そして、ゴリアテの体は紫色の粒子となって消えた。


「ナイス!ジュリィ!」


「賞賛。キシル」


 2人はそう言ってハイタッチをする。一体何が起こったかと言うと、なんと、ゴリアテを2人で討伐したのだ。


 本来ゴリアテは大人数で討伐するはず。しかし、そのゴリアテの異常な強さに他の冒険者は手も足も出なかったのだ。というわけで、結局他の冒険者達は退かせ、キシルとジュリィの2人で戦うことになった。


「さすがに疲れたな。大丈夫か?」


「ん。無事」


「そうか、良かった。さ、帰ろっか」


「ん。帰宅」


 2人は手を繋いで街に戻ろうと足を進める。


「ん?何だこれ?」


 その時、キシルは何かを踏んだ。それは、本や絵で見るような星の形をしている結晶だった。


「星の結晶……」


「え?ジュリィこれ知ってるの?」


「1度だけ見たことがある。星の怪物を倒した時に得られる星の結晶……」


「なんでそんなものがここに……?」


 2人は疑問を抱きながらも街まで戻ることにした。


 街に戻ると2人は英雄のように賞賛された。そして、冒険者ギルドでパーティを開くと言われた。2人は顔を見合わせると手を繋いでギルドに向かった。


「……なぁ、ジュリィ。このことどう思う?」


ギルドに着くと2人は最初に出会った場所に行った。そして、ジュリィにそう聞く。


「奇妙」


「だよなぁ」


無念無相むねんむそう


「考えるなってことか?いや、関わるなってことか……それならジュリィも関わるなよ」


「ん」


 キシルがそう言うと、ジュリィはいつものようにこくりと頷いた。


「……最後に、星の結晶って集めるとどうなるんだ?」


「え?疑問。なんでそんなこと聞くの?」


「……いや、ちょっと気になっただけさ。こういうのはお決まりだろ」


「……無念無相……と言いたいところだけど、キシルは言っても聞かないんだよね。星の結晶はね、沢山集めると願いが叶うって言われてるの。数は分からないんだけど、とにかく沢山集めないとダメなの」


「じゃあ、ジュリィは集めて何がしたいの?」


「……」


「……悪い。言いたくないなら言わなくていいよ」


「感謝」


「それと最後に、ジュリィの声って、凄く可愛いんだね。俺、好きだよ」


「っ!?……」


「どうした?そんな顔を紅くして……て、お前まさか熱があるのか!?それともどこか怪我を……」


「相違……なんでもない」


「そうか……ならいいが……ん?」


 ジュリィは突如キシルの顔の前に指をピンッと立てて来た。


「どうした?」


「……私の声、好きなんだよね。だったらキシルにだけはいっぱい聞かせてあげる」


「……?」


「キシル……私、キシルが好きだよ」


 その声は、これまで聞いてきた言葉の中で最も可愛い声だった。

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