第3話 星の怪物
━━……星の怪物。それが、星が降った時に現れる
俺は今日もその
「このモンスターを教えてくれたのって、ジュリィ……君だったよね……」
━━━━━━━━━━………………
「ん?なんだ?」
ある日、キシルがギルドでカレーを食べていると、ジュリィが指でつんつんしてきた。何か言いたげな表情をしている。
「何か言いたいことがあるのか?」
キシルがそう聞くとジュリィはこくりと頷く。
「なんだ?言ってみ」
「星……」
「星?」
「星の怪物……私は倒したい」
ジュリィはたった一言、それだけを言う。星の怪物……その名前を聞いただけで体に悪寒が走る。
「なんなんだ?その、”星の怪物”ってやつは……」
「……星の怪物はこの世界とは違う存在。私達では到底倒せない。……辿り着けない領域の存在」
「そんな化け物を倒したいのか?」
その問いにジュリィはこくりと頷く。その目にはいつもとは違う何か熱くて暗い何かが浮かんでいた。
「……復讐なら止めておいた方が良いよ」
「疑問?」
「復讐なんてやっても良いことなんか無いからさ」
「……」
「そんな顔するなよ。ほら、こっちおいで。一緒に食べようぜ」
キシルはそう言ってジュリィを膝の上に来るように呼んだ。ジュリィはてくてくと歩いてキシルの膝の上に座る。
「……でも、いつか2人で倒そうな。それまで居なくなったりやられたりするなよ。約束だからな」
そう言ってキシルは小指を突き出した。ジュリィはその小指に自分の小指を絡め合わせると、にこっと笑って言った。
「ん。約束」
その時のジュリィの笑顔は、これまでキシルが見た中で最も可愛い顔だった。
……それから3日が経った。その日はギルドの中はかなり慌てていた。だが、それもそのはずなのである。なんと、緊急クエストが開始されたのだ
当然キシルとジュリィもそのクエストを受注した。その内容は、巨人ゴリアテの討伐だ。
なんと、ゴリアテが街からかなり近くの大草原に現れたらしい。街に被害が出る前に討伐してくれと言う依頼が来たのだ。
キシルはそれに向けてジュリィに出会った場所と同じ場所で装備を整えていた。
「ん?ジュリィ、どうした?」
その時ジュリィがモジモジしながら話しかけてきた。長い付き合いだがらジュリィが何を言いたいか大体わかる。
「アイテム忘れたから貸してほしいんだろ。本当にジュリィはドジだなあ」
「失態……羞恥」
「あ、それ久しぶりに聞いたな」
「希求」
「キスしてくれたら良いよ」
「っ!?恥辱……」
「え?ご、ごめん。嘘だから。そんな泣かないで」
ジュリィが泣き出してしまったので、キシルは慌ててアイテムを渡した。このアイテムはジュリィのために購入したアイテムだ。
それを渡すとジュリィは少しだけ笑顔になって涙を拭うと抱きついてきた。
「どうした?」
「
「っ!?……俺は死んだりしないよ。約束しただろ」
キシルはジュリィの突然の告白に戸惑いながらも、優しく頭を撫でてそう言った。
実は、前々からジュリィが自分に気があることは気づいていた。はじめて出会った時もいきなりかっこいいと言われたし、愛して欲しいと言われた。冗談かと思ったが、違ったらしい。
「ジュリィ……俺、ジュリィのこと好きだよ。だから、帰ってきたらまた2人でここに来ような」
そう言うとジュリィはこくりと頷いた。そして、キシルは頬を紅くしてモジモジするジュリィの唇に自分の唇を合わせた。
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