第1話 出会い

 俺が彼女と出会ったのは、3年前。俺が14歳の時のことだった……


 ━━3年前……


「よぉ、初めましてだな」


自分はギルドと呼ばれる建物の中で、食堂のような場所に座っている少女に話しかけた。


「ん?誰?」


「俺は、キシル。今日の依頼クエストを一緒に行う君の相棒パートナーだ」


「そう。了解。私はジュリィ」


 ジュリィと名乗る彼女は小さな声で少しだけ話して手を出してきた。俺はその手を握って握手をした。そして、ジュリィは立ち上がると2人で歩き始める。


 俺はその時彼女にこう思った。


 本当にこの子が強いのか?と。


 俺や彼女みたいな人達は皆冒険者と呼ばれていた。その理由が、依頼クエストなどで冒険をすることが多かったからだ。


 そして、そんな冒険者達の中でも彼女はとびきり強いと噂だった。


 だが、実際のところ、自分は疑っていた。彼女は背が低く、自分と同じ年齢のはずなのだが、見た目の年齢は14歳程度。髪の毛は、色はターコイズグリーンで長いしくしゃくしゃだ。スタイルはかなり良いが、胸は小さい。顔は小顔で緑色の瞳。


 どこからどう見てもただの女の子だ。だから、彼女が凄腕と言われてもなかなか信用出来なかった。


 だが、彼女には異名がある。その名も『沈黙の殺し屋』だ。


 その名の通り、彼女は殺し屋なのだ。それも、異形モンスター専門の。相手がどんなに強くても、彼女は必ずその異形モンスターを仕留める。


 そして、沈黙というのは彼女の口数があまり多くないからだ。大抵2字熟語を一言だけ言って終わる。さっきは少し長めに話してくれたが、普段なら『了解』だけで終わるらしい。


「……なぁ、今日のクエストの場所わかってんのか?」


 キシルは足を止めそう聞いた。すると、彼女は少しだけ周りをキョロキョロすると、何も無かったのか顔を俯かせて寄ってくる。


「分からないのね」


 キシルのその言葉にこくりと頷く。


失態しったい羞恥しゅうち


 少しだけそう呟く。そして、キシルの目を見つめてきた。


「……教えて欲しいの?」


願望がんぼう


「教えて欲しいのね。じゃあ、ちゃんと頼まないと」


「……教養きょうよう要求ようきゅう


「よく出来ました。……て、そんなに嫌だったのかよ。そんな目で俺を見るなよ」


 キシルはそう言ってジュリィを見つめる。ジュリィも何故か自分を見つめてくる。


「どした?」


鯔背いなせ


「は?急にどうしたんだよ?俺に惚れたのか?」


 キシルは少し生意気な顔をして聞いてみた。すると、ジュリィはこくりと頷く。


「まじ……?」


「本当。求愛きゅうあい


 ジュリィはそんなことを言ってくる。


「そうか……まぁ、少し考えさせてくれ」


 キシルはそう言ってその場を収めた。それが、俺とジュリィとの最初の出会いだった。

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