第2話
「
来週お礼何持って行こうかな。
莉子先生からは海外に行ってるママとパパの代わりに声楽とピアノを教えて貰ってる。先生はママと同じ音楽科声楽専攻卒。同期やねんて。ママみたいに舞台が本業ではないけど大学で教授やってる実力のあるかなり凄い人。ちなみに旦那さん、奏のパパは世界的に有名なヴァイオリニスト、
あのあと、1時間ぐらい会話して、サラッと解散した。お互い自主練したいしね。奏は都内の劇場の高校生オーケストラで次の公演のゲストコンサートマスターになったみたいで。本人はケロッとしてるけどかなり忙しいと思う。流石やわ。
我が家には誰もいない。誰もいないけど無駄に広い。私のパパママは海外、主にヨーロッパを飛びまわってるから月1ぐらいでしか帰ってこない。別に日本の中高行きたいって言ったんは私やけどさ、わかっとおで?仕事やからしゃあないけどさ!毎日帰宅しても誰もおらんってかなり骨身に応える。
奏も両親が家を留守にしてることは多いけど、2人とも日本で活動してるから夜遅くでもほぼ毎日帰ってくる。ちょっと羨ましい。
私はキッチンへ向かい、業務用並みにデカい冷蔵庫を開けた。もう14時だしケーキ食べたけどなんとなく昨日作り置きしてるご飯を食べますかっ。
食べすぎ?今日くらいはええねん。見逃して?
レタスにお米とそぼろ肉を包んで一緒に食べる。これがね、結構美味しいのよ。簡単やし楽やし素手で食べられるし一人暮らしには持ってこいよ!
「レタス、肉、米!どーん!
うん!効果音付けたいぐらいに良いチョイス!!センスあるね!」
私はキッチンで大袈裟に独り言を呟きながら立ち食いをした。行儀悪い?ええねん!誰もおらんし!広間までわざわざ行くんめんどいし!
「あー!食った食った!」
最後に牛乳を一杯一気飲みしたあと、私はキッチンを後にした。
練習室は家の2階にある。
グランドピアノが2台置いてある20畳の防音室。ここは1番広いからふざけて走りまわりながら歌の練習をすることもある。うちは皆んな音楽やってるから向かい側にあと2部屋、10畳ずつ練習室があるねんな。向かって右側にあるパパ専用の練習室はピアノが置いてない。正しくは今はない。パパは色んな所へ公演するたびにピアノを持ち運んでる。調律は自分でできるみたいだけど飛行機に積んだり、ホテルに持ち運んだり、周りにとっちゃだいぶ迷惑やと思うわ。
そんなことを考えながら時計に目を向ける。
14時16分か。とりあえず1時間半歌やって、2時間ピアノやろっかな。奏から聞いたけど明日生徒会主催の歓迎パーティーがあるんだっけ。練習終わったら無難なパーティードレス選ぶか、、、
私は譜面台に練習曲集、コンコーネを置き、黒艶のグランドピアノの蓋を開けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます