第146話 憎しみが生むもの㉔

「先ほどの崩落時に駅構内にいたことで崩落に巻き込まれた隊員の救助はほかの自衛隊部隊と消防が協力してやることになっている。よってこれより作戦を変更して全解放戦線の殲滅に変更する」


「全解放戦線の殲滅ですか?」


「あぁ、そうだ。今度こそあいつらを日本から消滅させる」


「でも、敵の幹部がいる場所がわかっていません」


「いや、敵幹部は間違いなく数分前までは新宿駅構内にいた」


「なっ、、、なぜです?」


「ある地点で自衛隊と警察の包囲網が突破された。おそらくその中には敵幹部がいたはずだ」


「それは推測ですか?」


「いや、その部隊には着物を着た女性がいたそうだ」


着物を着た女性。それは間違いなく中央線内でホログラムとして現れ、立川で俺に姿を見せた例の女性に違いない。その女性の立場は詳しくわからないが周りの一般の敵構成員とは違った姿、そして行動を考えると間違いなく何らかの役職を持っているに違いない。


「その部隊は西側の包囲網を突破して、途中で車に乗って移動していることがわかっている」


「そいつらはどこに向かっているんですか?」


「まだ詳しくはわからないが…奴らが使っている道をそのまま進んでいくと調布飛行場に当たる」


「…国外逃亡ですか」


「あぁ、そういうことになる。すでに航空自衛隊、海上自衛隊には情報を通達しておりレーダーなどによる監視体制は万全だ。しかし、もし奴らが空に飛び立った場合俺たちが幹部とみられる人物から情報を得ることができなくなる。捜査を進展させるためにも奴らを生きたままとらえる必要がある」


「そこでみんなには、このまま調布飛行場に向かってもらって対象が空に飛び立ちのを阻止してもらいたいな」


「了解です。生け捕りということですね」


「あぁ、ただどうしようもないと思ったら射殺してもよい。それでは各員仕事にかかってくれ」


自衛隊の隊長がそう言うと全員が自分の仕事に走って戻っていく。俺たちも近くに止められている自衛隊の車に乗り込んで調布飛行場までの移動を開始する。


「剣持、そっちの部隊だが独立した作戦は可能か?」


「…厳しいと思います。部隊のほとんどがさっきの崩落に巻き込まれていますし、隊長も生死不明です」


「わかった。それなら剣持の部隊は俺たちの部隊の指揮下に入ってくれ。蒼葉君はどうです?」


「僕の部隊はまだ被害が抑えられているほうだからギリギリ、独立した作戦は可能かな」


「了解です。それなら蒼葉君たちの部隊は独立した行動をお願いします。俺と剣持の部隊は合同で行動しますから」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る