第145話 憎しみが生むもの㉓
蒼葉たちは前方を警戒しながら連絡通路を進んでいく。一応すでに連絡通路内にいた敵はさっきの攻撃によって全滅をしているもののいつ敵が階段からこちらに入ってくるかわからない。
とにかく敵を警戒しながら階段の前まで行くとまた蒼葉を先頭にして階段を上がっていく。その時、爆音とともに建物がきしむような音が鳴り響く。いたるところで天板が剥がれ落ち砂埃が舞う。
「隊長!これは!」
「これは…まずいね。とにかく急いで中央西改札のほうまで戻ろう!」
異常事態が起きていることに感づいた蒼葉たちは急いでもと来た連絡通路を通り中央西改札に向かう。蒼葉たちが中央西改札についてからすぐに先ほど以上の轟音が鳴り響き連絡通路から砂埃が舞う。
砂埃が収まるのを確認してから蒼葉たちが連絡通路を確認しに行く。するとそこには完全に天井が崩落してしまっており、もう通ることができなくなってしまっている連絡通路だったものが見えた。
「これは…どうしますか?」
「ここからの攻撃はもう無理みたいだね。とにかくいったん司令部に戻って作戦を立て直すしかないかな」
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新宿駅が崩落した時俺と弓削さんたちは代々木方面の線路にまで退避していた。
はじめは駅のホームに退避していたが駅の崩落に伴って駅のホームでもいたるところが陥没し始めてしまい、ホーム自体も崩落しそうになってしまっていたためだ。
「弓削さん。これは…」
「あぁ、新宿駅奪還作戦は失敗だ。おそらく中にいた敵構成員はほとんどが死亡してしまっているだろう。とにかくいったん司令部に戻って作戦を立て直すぞ」
駅のホームが崩落していく様子を見ながら俺たちは代々木駅方面に歩き出した。
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俺たちが司令部に戻るとそこにはすでに人数を大きく減らした蒼葉君の部隊がいた。すでに司令部には話が伝わっているため、司令部内の空気は非常に重く皆が黙々と作業をしていた。
「全員、いったん集まってくれ」
自衛隊の隊長であろう人が司令部内に号令をかけて中にいた全員を集める。自衛隊の隊長の隣には紫苑君もおり、渋い顔をしている。
「新宿駅奪還作戦は失敗だ」
隊長のその言葉で俺たちの間に重い空気が流れる。今まで情報から間違いなく作戦が失敗してしまったことはわかっていたが、やはり責任者が改めてそれを口にすると重みが違う。
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