第147話 憎しみが生むもの㉕

俺たちは飛行場につくと即座に滑走路に向かって走る。すでに調布飛行場側にはこのことを伝えており、現在すべての飛行機の発着がストップしている状態だ。


敵の部隊は検問を突破してすでに調布飛行場内についていることがわかっている。この後のことを考えると一応飛行場内での爆発物の使用というのは控えたほうが良い。しかし、それはあくまでも建前上であって敵幹部を拘束するためには致し方がない場合なら躊躇なく使う予定だ。


俺たちは飛行場のフェンスについている通行用の扉から滑走路内に入る。敵が調布飛行場内で今何をやっているのかは全くわからないがまだ飛び立っていないことは間違いない。


ここで蒼葉君たちの部隊とは別れて敵部隊がどこにいるのかをまずは探す。一応今ここではすべての航空機の発着が制限されていることから、もし滑走路内にある飛行機に乗り込もうとしている者がいたら、それは間違いなく敵構成員だ。


そして滑走路内は非常に視界が開けていて、もしそこに人が歩いて居ようものならすぐにわかる。ただ、現在滑走路内にはいくつかの飛行機が止まっておりその中のどれが敵が使おうとしているものなのかはわからない。


とにかく一つ一つの飛行機の内部を確認して敵が隠れていないかを確認する。


「剣持、見つかったか?」


「いえ、まだ…」


俺はそういいながら周りを見渡す。視界に移るのはいくつかの飛行機、滑走路のそばに生えている草、そして格納庫だ。


俺は格納庫に近づいていく。するとその中の一つの格納庫が不自然に開いているのが見える。俺は銃を握りしめながら中に慎重に入っていく。暗くて見ずらいが、一応中を確認することはできる。格納庫の中にはいくつかの飛行機が入っており、その中でも一番大きな飛行機の周りで何か作業をしているような音が聞こえてくる。


俺は銃を構えて突然敵が出てきてもいいようにしながら、そこにゆっくりと歩いていく。音が聞こえてきたところが見えるところに来た時、その場所に銃を勢いよく標準を合わせる。


そこには飛行機に荷物を積み込もうとしている敵構成員がいた。俺は素早く引き金を引いてそいつを射殺する。しかし、その音は格納庫の中であったこともあり反響して室内に響き渡ってしまう。


すると格納庫内のいくつかの場所から敵が顔を出してこちらを見てくる。俺はそれを一人一人始末していくが、全員を仕留めることができるわけじゃない。飛行機を間に挟んだ銃撃戦が始まる。


ただ例の女性を見つけることができない。あいつこそが獲物なのに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る