第140話 憎しみが生むもの⑱
周囲を見渡してみるが敵の姿を確認することはできない。しかしとなりのホームから見たときに敵に姿を確認できているので油断することは禁物だ。俺は高宮2曹にハンドサインで合図を出して部隊を2つに分ける。
俺は2人の隊員を引き連れながらホームを進んでいく。物陰から敵が前方にいないか確認しながら進んでいくが一向に接敵しない。
そのままホームの端までたどり着いてしまう。そして引き返そうとしたその瞬間、ホームの反対側から銃声が聞こえてくる。負けることはないとは思うが万が一の時のために俺たち3人は走ってホームの反対側に向かう。
俺たちがホームの反対につくとそこには数人の敵構成員が頭を吹き飛ばされた状態で横たわっていた。
「大丈夫ですか?」
「この程度なら何の造作もないね。そんなことよりも早く上に行って敵を挟みたいんだろう?」
「そうですね。あの部隊がすぐにやられることはないと思いますし大丈夫だと思いますけど、すぐにでも作戦を開始したほうがいいのは間違いないです」
俺はそういうと階段へと向かう。
弓削さんたちの部隊が到着したことによって今は逆に敵が挟まれているような状況になった。しかし、今の俺たちにはあの装備、そして練度の敵部隊を自分たちだけで切り崩すような力はない。つまりここで決めることができなければ撤退するしかないということだ。
階段を上がり切り、周辺に敵がいないことを確認してから通路に出る。すると南改札のほうが騒がしい。どうやら敵もホーム側から攻撃されることは想定していなかったようだ。
まだ弓削さんの部隊が2階まで上がってきているようには見えないが、それでも敵が挟まれている状況に変わりはない。俺たちは通路を抜けて遮蔽物に隠れる。
俺はグレネードのピンを抜いて敵に向かって投げつけ、爆発する寸前に全員で敵の背後を銃撃する。敵がこっちを振り返ろうとした瞬間、投げていたグレネードが敵部隊の真ん中で爆発する。
敵部隊は完全に後手後手に回ってしまうこととなり、こちらに背を見せながら走って撤退していく。そしてそんな隙を逃すような俺たちじゃない。背を向けて逃げ出している敵を一人づつ確実に仕留めていく。
これによって俺たちの前線が相当上がり9、10番線ホームへとつながる階段まで制圧することができた。とはいえ、ここで調子の乗って簡単に攻めるのはよくない。いったん遮蔽物に隠れて呼吸を整える。おそらくここから先は例の敵精鋭部隊がいるはずだ。まず第一に考えるべきなのは誰一人もこれ以上やられないことだ
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