第134話 憎しみが生むもの⑫

「どうやらあの子の作戦で動いても問題はなさそうだね」


「はい、特に問題はないと思いますよ」


「それなら安心だ。自分以外の隊員も不安に思っているだろうから、一人一人と話して来たらどうかな?」


「そうですね。それではちょっと話してきます」


俺はそういうとほかの自衛隊員たちと軽く自己紹介を始める。もしかしたら自衛隊員の中には一応警察である治安部隊パブリックオーダーに指揮されるのを嫌がる人がいるかもしれないと思っていたがそんなこともなくみんな愛想のいいひとばかりだった。


やはり自衛隊の対テロ部隊ということで警察とともに戦うこともあるだろうし、そこに対する教育も行き届いているということなのだろう。


俺たちの部隊はほかの部隊と比べて移動する時間があまりかからないので他の部隊と比べてコミュニケーションをとることもできる。はじめは軽く自己紹介だけのつもりだったが以外にもちゃんと話すことができた。これならこれからの作戦でも不安は残らない。


おそらくこの部隊だけが友好的というわけじゃないだろうしほかの部隊でもコミュニケーションがあまりとれなくても大丈夫だろう。


「剣持君、そろそろ作戦が始まるみたいだよ」


「了解です。それじゃ、まずは南口改札周辺の安全を確保しましょう。それができたら次に2階の制圧をしましょう。具体的にはまずは小田急の乗り換え口のほうを制圧してから東南口方向を制圧しましょう」


「了解だ。駅周辺の掃討はほかの部隊がやってくれるみたいだけど、南口周辺だけは自分たちも加勢したほうがいいかな?」


「そうですね。一番怖いのは駅の中に入ってから敵が改札方向を封鎖して閉じ込められることですからそこは自分たちも参加してしまいましょう」


「わかった」


『全部隊、作戦を開始』


『了解』


俺たちは本部の合図を聞くとすぐに作戦を開始する。たださっき話していた通りすぐに駅構内に入るのではなくまずは周辺に展開している敵部隊を片付ける。ただ駅周辺には敵が展開しているという話だったが、南口改札周辺にはあまり敵は展開していないようだ。


新宿駅周辺といっても新宿駅自体がめちゃくちゃでかいのでそれだけ敵部隊が分散しているということだろう。とりあえず近くに見える敵の小隊を片付けてから周辺を丁寧にクリアリングする。


ただどうやら周辺にはもう敵がいないようなので俺たちは駅の構内に入る。もちろん駅の構内には敵が当然のように展開している。


俺たちは敵からの射撃を受けながらも改札の陰に隠れて応戦を開始する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る