第121話 不穏の足音㉜
瀬霜さんが起き上がるのとほとんど同時に菖蒲さんも仮眠室から出てくる。彼女も制服のままで寝るので何も準備することなくそのまま任務に行くことができる。彼女に限っては通信系の機器なんかは車に置いたまま放置しているので本当に準備するものがない。
「おはようございます。瀬霜さん」
「なんか嫌な予感がするんだけど何か聞いている?」
「これから弓削さんがここに帰ってくるそうですよ。すぐにここから出れるように準備をしろと隊長が言っていました」
「あぁ、、、やっぱり」
瀬霜さんはそういいながらバッグの中に自分が使う銃が入っているかを確認する。こうやって口では働きたくないと言いつつちゃんと準備はするところが瀬霜さんがここに残れている理由なのだろう。
「弓削君は何か言ってた?」
「いえ、まだ弓削さんからは何も聞いていません」
「はぁ、、、やっぱり彼は疫病神だよ」
瀬霜さんは大きくため息をつくと机に突っ伏す。
その時上にある本棚が動く音が聞こえてくる。
俺はすでにまとめていた荷物を背負ってすぐにでもここから出れる準備をする。
弓削さんが廊下を歩く音が聞こえてきてからすぐに、部屋の扉があけられる。
「敵の拠点がわかった。今からそこに攻め込む」
弓削さんはそれだけを言うと弓削さん自身の荷物を背負って部屋から出ていった。俺もそれに続くようにして自分の荷物を背負って部屋から出ていく。瀬霜さんはため息をつきながら、菖蒲さんはあくびをしながらも俺に続いて外に出る。喫茶店の外にはすでに車が横付けされており、弓削さんが荷物を詰め込んでいた。
俺たちも荷物を載せてから車に乗り込む。すでに車には隊長と蒼葉君が乗っており、弓削さんと話していた。
弓削さんは全員が乗り込んでことを確認すると車を出す。
「俺が調査をしたところ赤羽に敵の拠点があることが判明した。これからそこに乗り込むぞ」
「そこは市街地ですか?」
「あぁ、繁華街の中にある現在は使われていないビルの中に敵の拠点があると思われる。瀬霜は周辺のビルに上って怪しい動きをする敵がいないか見ててくれ。俺と蒼葉君、剣持で中に突入する」
「了解。もし逃走する敵がいたら撃つよ」
「…今回はあくまでも市街地での戦いだ。もちろんあとで情報規制をすることは可能だがあまり目立つような行動はするな」
「ハイハイ、わかってるよ」
「また今回の拠点にいる敵は精鋭部隊ではないが潤沢な装備を持っていると考えてくれ。油断はするな」
「了解です。グレネードの使用は控えますか?」
「使用してもらって構わないが、ビルの内部でだけだ。市街地での使用は認めない」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます