第122話 不穏の足音㉝

「ビルの内部構造なんかはわかっていないんですか?」


「一応完成時の内部構造はわかっているが、完成してから時間がたちすぎている。あとで一応共有しておくが、あまりあてにしないほうがいいだろう」


「了解です」


弓削さんは伝えることだけ伝えると自分の装備の点検をし始めた。弓削さんは銃の最終確認をしている時間が今回なかったので今ここで確認するのは重要なことだ。こうやってきちんと手入れをして確認することによって銃の作動不良や弾詰まりなんかを回避することができる。


そのまま車に揺られること数十分、俺らは敵の拠点があると思われるビルの近くに車を止めていた。ビルの正面に止めないのは俺たちが来たことを感づかれないためだ。逃げられてしまってはここを制圧しに来た意味がなくなってしまう。


「それじゃ、僕たちは近くに展開しているSATの本部に入るよ。瀬霜さんは弓削さんがさっき言っていた通りビルが監視できる位置にはっていてね。ほかの3人はとりあえず指示があるまでは扉の前で待機していて」


そういうと隊長と菖蒲さんは機材を持って本部がある方向に向かっていった。それと同時に瀬霜さんは近くにあるビルの屋上に向かう。


俺たちも指示があったらすぐにビルの中に突入できるようにビルの裏口に展開する。ビルの正面はSATのメンバーがはってくれており、俺たちが突入するのと同時に彼らも突入する。


いきなり突入するのはトラップの危険があるために事前にスネークカメラを使って扉の内側を確認する。見たところではトラップはないようだ。ただ内部は非常に暗い様子で遮蔽物も多い。


『こちら司令部、全部隊突入を開始して』


司令部の隊長からの合図を聞いた瞬間、弓削さんがスレッジハンマーを使って扉を開ける。


俺が戦闘になって1階のクリアリングをしていく。この階は真ん中に通路がありそれを挟むようにして左右に2つずつ部屋がある。俺はまず一番近くにあった扉を開いて中を確認する。


そこにはほこりが積もっている机が放置されておりそこには世界地図が置いてあった。


俺の背後ではすでに2人が逆側にある部屋をクリアしきっていた。ほかの2つは同時に突入したSATの隊員たちが済ませており、いずれの箇所でも敵構成員はいなかった。


SATと合流した俺たちは唯一の階段を使って上に上がっていく。一つ上の階も1階と同じような構造となっており4つの部屋が存在している。


俺はまず手始めに一番手前にあった部屋のドアを開いて、銃を構える。

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