第120話 不穏の足音㉛

俺は軽い筋トレして汗を流しながら時間を潰す。


正直に言ってここ数日間は本当に暇だ。働きたくても働くことができないというかやることがないというのはなんとも歯がゆい。


結局、毎日同じことを繰り返すことが嫌だった俺はそのまま午後になるまで筋トレをして汗を流した。そのあとは昼食をとってから今度はパソコンに向かって作業をする。一応、仕事をしていなければならないので一日中、筋トレだけで過ごすというのはよくない。


まぁ、もちろん瀬霜さんと菖蒲さんは働いていない。あの人たちは実戦でちゃんとやれば通常業務では何もしなくても許されている?から。


「剣持さん、どうやらこれから弓削さんがここに来るみたいだから準備しておいてね。たとえ定時になっていても任務はやるから」


「了解です。菖蒲さんと瀬霜さんも起こしておきましょうか?」


「いや、2人は気配を察知して勝手に起きるから大丈夫だよ」


「…あの人たちはエスパーかなんかですか?」


「ちゃんとしなきゃいけないところではちゃんとしてるのがあの2人のすごいところだからね」


隊長は俺にそう伝えるとそのまま部屋の外に出ていった。


実際、弓削さんは八潮の時みたいに帰ってくると同時に戦闘を始めるなんて言うこともするから準備しておいたほうがいいのは間違いない。ただ、基本的に俺たち治安部隊パブリックオーダーの隊員はすぐに任務に迎えるように持っていくものを普段からまとめていることが多いのでやることはあまり多くない。


保管庫を開けて今回使うであろうSCARを取り出してバッグに入れる。グレネードの類も専用のバッグに入れ、いつでも任務に行ける状態にする。弓削さんが情報を取ってくるということはおそらく敵の拠点に潜入、または攻撃ということになるだろう。なら今回は室内戦になる可能性が非常に高い。


だからこそ、今回は小さくて扱やすいSCARを選んだ。


俺が準備を終えるのと同時に机の下から瀬霜さんがもぞもぞと出てくる。瀬霜さんは基本的にいつも装備が変わらないためバッグの中にいつも銃を入れっぱなしになっている。リスク管理として間違いなく間違っていることは確かだが彼の装備はめちゃくちゃ重いので鍛えている人でも持ちことは難しい。


だから大丈夫かといわれると何とも言えないが、間違いなく彼じゃないと使いこなせない武器構成であることは間違いないだろう。


また、瀬霜さんは寝るときでも相変わらず治安部隊パブリックオーダーの制服を着ながら寝ているため着替える必要もない。


しわもついていないので起きるだけですでに完璧な態勢だ。

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