第112話 不穏の足音㉓

そして翌日、俺が拠点に行くとそこでは俺以外の全員が集まっていた。手帳の時といい何か重要なことが発表されるときはいつもは早く来ない人たちもちゃんと早く来るみたいだ。


「全員揃ったみたいだね。それじゃ今回の件で回収した証拠類からわかったことを伝えるよ。まず今回死亡した敵構成員の身元を確認したところ栃木県警の元警察官がいることが分かった」


「栃木県警の元警察官というと前回のやつで離反した奴らのことですか?」


「うん。あの時の戦闘によって離反した人数のうち相当数が死亡しているはずだけど、そこで生き残った警官たちは今回の事件のために使われたみたいだね。まだ生き残りがいるのかどうかはわからないけど、今回の事件でも結構な人数の元栃木県警の警官たちが死亡しているから生き残っている者がいたとしても少ないと思うよ」


「だとすると元栃木県警の警官の足取りなんかからレゼルへアプローチするのはあまり意味がなくなったということですね」


「うん。そうだね。それじゃ2つ目、今回の事件で使われた重火器類だけど、それらにはレゼルの羽のマーク以外にも王冠のようなマークが入っていたらしいんだよね」


「王冠のようなマーク…ですか」


「うん。それを調べてみたところ数年前まで活動していたとある新興宗教とマークが一致したんだよ」


「それって、もしかして」


「うん。全解放戦線のマークと同じだった」


全解放戦線というのはすべての人類を政治や宗教などの権力から解放するという考えから生まれた、とある宗教から分離した団体で、中でももっとも異端で危険とされている団体だ。彼らは人類を生から解き放つという大義のもとでテロ行為を繰り返しており世界各国からテロ組織認定されている。


中でも18年前に起きた東京都庁爆破テロは当時の都知事を含めた421人が死亡するという日本で起きたテロの中でも最悪の事件といわれるものだ。これにより各国は全解放戦線への弾圧を強化し、10年前にはアメリカを中心とした多国籍軍が全解放戦線の最大拠点へと攻撃仕掛け、中にいた数人の幹部を含めた300人近い関係者を殺害した。


その攻撃のあとにも世界に点在していた拠点を一つずつ潰していったことによって全解放戦線は衰退していき数年前には解体されたとされている。しかし現在に至るまで創始者、および最高幹部の一人は捕まっていなくいまだに世界各国で指名手配されている。


もし全解放戦線が再び動き出したのだというのならこれは俺たち警察だけの問題ではなくなってくる。自衛隊、アメリカ軍など軍部にもかかわる問題になる。


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この物語は完全なフィクションです。現実とは一切関係ありません。

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