第107話 不穏の足音⑱
俺は銃を構えて一人ずつ仕留めていく。しかし、敵の数が多く、しかも一般人を考慮しなければならないため慎重に撃たない。となるとすぐに片付け切るのは厳しい。
近づいてくる敵をできる限り仕留めていくがだんだんと交戦距離が短くなる。
さらに周りの警官たちを見ると遮蔽物に隠れながら敵をどうにか倒そうとしているがどこも押されているようだ。
俺は交戦距離を確保するために低い姿勢のまま後ろに落ちていた大きながれきの裏に場所を変える。弓削さんも俺が移動してからすぐに同じところに移動してくる。
「弓削さん、瀬霜さんと蒼葉君はどこにいるんですか?」
「蒼葉君はすでにここで戦闘に参加しているはずだ。瀬霜は近くのビルからスナイパーで援護してくれている」
すでに
俺たちはすでに立川駅を背後に包囲されている状態だ。どこか一点でも包囲網を突破できなければこのままじり貧になる。幸い一般人の退避はほとんど済んだようで今なら爆発物を使っても大丈夫だろう。
俺はベストから手榴弾を取るとピンを抜いて敵に投げつける。
俺が投げた手榴弾は敵の集団の後ろ側に転がっていきそこで爆発する。敵は実戦に慣れていないのか投げられた手榴弾にほとんど対応もできずそのまま肉片に変わった。敵が手榴弾に気を取られている間に俺と弓削さんはがれきの陰から体を出して前から順に敵を処理していく。
敵も反撃してくるがさっきよりも格段にやりやすくなった。そのまま俺と弓削さんは敵の大半を片付け、包囲網を突破する。
俺たちは敵の包囲網を突破すると近くで交戦中の敵の側面を攻撃する。警官たちは相当押され気味だったがぎりぎり間に合ったようだ。近くにいた警官たちは死傷者を多く出しながらも全滅は免れた。
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そのころ蒼葉君は剣持たちがいるところから少し離れたところで敵に囲まれていた。幸いにもそこには遮蔽物となる車が多く止められていたため隠れながら攻撃することはできるが、それでも厳しい状態なことに変わりはない。
蒼葉は車の陰に隠れながらも一発一発敵の頭に当てていく。これが連射できるような現代の銃なら火力も上がり簡単に敵を制圧できるが蒼葉が使っているのは約100年前のボルトアクション式のライフル。なかなかすぐに敵を片付けるってのは難しい。
『蒼葉!大丈夫?』
『…一応大丈夫だけどちょっと時間かかっちゃうかも』
『救援を送ろうか?弓削さんと剣持さんのところは片づけ切ったみたいだから、2人を送ることはできるけど』
『いや、大丈夫。ここは僕一人でもどうにかできるから警官たちが厳しいところに送ってあげて』
『わかったよ。…でも本当に厳しくなったらすぐに言ってね』
『うん。わかってる』
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