第102話 不穏の足音⑬
「例の手帳の中には重大の情報が3つ入っていたよ。まず1つ目、栃木の件で戦闘に参加していたのはレゼルだけじゃないことが判明したよ」
「レゼルだけじゃないというとほかの犯罪組織も関わっていると?」
「それだったならまだ良かったんだけどね。どうやら、今回の件には新興宗教の類が関係しているらしいよ」
「新興宗教?」
「うん、組織名なんかはまだよくわかっていないんだけど、思想としては今の社会を支配している政府だったり宗教だったりとかそういうのを打倒することを目標にしてるらしい」
「なんですか。それ?宗教が宗教から人々を解放するってどういうことです?」
「こういうのに整合性を突き詰めちゃいけないってことだよ。とにかく一つ目はそれだね。2つ目はどうやら海保のヘリコプターは東北方面に向かったらしいよ」
「東北方面ですか…。となると管轄は盛岡になりますよね」
「そうだね。まぁ、管轄を超えて捜査することもできなくはないんだけど今東京をあけておくのはさすがに怖いからね。今は盛岡の
「東京のどこか…ですか」
「うん、結構範囲が広いけど、まだ何もわかっていないよりはましではあるかな」
「どのような形でことを起こすのかとかはわからなかったんですか?」
「それは手帳には書いてなかったみたい。それに何か起こすといわれてもいつそれが起きるのかっていうことも書いてなかったみたいだしね」
「となると結局俺たちのできることっていうのは普段と変わらないって感じですか?」
「まぁ、そういうことになるかな。一応手帳の解析っていうのはまだやっているらしいから、もしかしたら新しい情報が解禁になる可能性もあるけど…まぁ、期待はしないほうがいいと思うよ」
「そうですよね。盛岡のほうは手出しできないですし、新興宗教のことも調べてはみますけど多分詳しいことはわからないと思います」
「だよね。結局敵が何かを起こさないと何もわからないっていうのが実際のところかな」
「警備の強化っていうのは何か考えられているんですか?」
「それはやるらしいよ。もちろん一般の警官まで今回のことを話すことはできないから、違う目的を対外的には打ち出すことになると思うけどやることにはやるよ。とはいえ、僕たちはここで待機していることが求められるからね。何もできないよ」
「その手帳の内容自体が間違っているっていうことはないんですか?」
「というと?」
「例えば、わざと手帳が敵の手に渡るようにしてこちらのミスを誘っているとか」
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