第101話 不穏の足音⑫
弓削さんは冷たい声でそういうとパソコンを閉じる。
「まだ体力が復活しきっていないだろう。今日はもう帰ってゆっくり休んでおけ。どうせこれからは寝たくても寝れないような忙しい日々が続くからな」
弓削さんはそういうと荷物を持つと部屋から出ていった。確かにあの手帳になにか書いてあったとしたらここからは相当忙しい日々が続くはずだ。そのために早く家に帰ってゆっくりしておくってのもわかる。
俺は釈然としない気持ちを抱えたまま荷物を持つと自分の家へと向かう。正直幹部が情報をどう扱うのかということのすべてを握っているのは不満だ。だが、それが今の社会を守っているといわれてしまうと何とも言えない。
結局家に帰るまでずっと悶々とした気持ちを抱えながら帰ると、服を着替えてからそのままベッドに倒れこむ。
拠点にいたときは体力が回復しているように感じていたがこうやってベッドに寝転んでいるとそうではないことがよくわかる。俺はベッドに寝転んでからすぐに沈んでいくかのように眠りに落ちた。
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翌朝俺が目を覚まし、時計を見るとまだ針は6時を指している。さすがに2日連続遅刻するなんて言う最低なことはしないで済むみたいだ。昨日とは違って余裕を持ちながら朝食をとって、着替える。
そしていつもの真っ白な
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拠点に入るとそこにはまだ8時前にもかかわらず菖蒲さん以外の全員がそろっていた。菖蒲さんが遅いのはいつも通りなので気にならないが、普段ならこの時間はまだここで寝ているはずの瀬霜さんがちゃんと起きていてしかも制服を着ている。
明日は雪でも降るのかもしれない。
「瀬霜さん、どうしたんですか?こんなに早く起きているなんて」
「俺だってこういう何かありそうな日はちゃんと8時に合わせるよ。俺のことがそこまでだらしない人間に見えるかい?」
正直言って見えるが瀬霜さんがあまりにも自信満々に言うのでちょっとそういうのをためらう。
その時眠たそうに眼をこすっている菖蒲さんがドアを開けて部屋に入ってくる。…菖蒲さんまで早く来るなんて明日は雹でも降るのか?
「全員揃ったね。それじゃ、例の手帳の件について話すよ」
隊長は菖蒲さんが荷物を置いて全員が話を聞けるような状況になったことを確認すると話し始めた。
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