第98話 不穏の足音⑨
「アーマーの種類だったり敵の体形?」
「あぁ、どの種類のアーマーがどういった構造になっているのかっていうのは大体頭に入っているからな。それを生かして弱点を探っていく。そしていくつかのポイントに絞った後に敵の体形を見てどこに当てるのが一番効果的なのか考えるかもな」
「アーマーの種類で何か違うんですか?」
「あぁ、もちろんそこまで大きな差があるってわけもないが1つ1つ特徴がある」
「そうなんですね。まったく考えたことありませんでした」
「まぁ、知っていたら便利ってだけで知らなくても任務に支障はないからな」
「それで敵の体形っていうのは?」
「それはどこに当てたら敵を確実に仕留められるかってことだな。まぁ、基本的に戦闘員っていうのは鍛えている場合が多いからな。あんまり気にすることがないがアーマーのサイズが少し大きかったりしたらその浮いている部分に当てて貫通を狙ったりするな」
「なるほど、そうすれば小さくて火力の低い火器だとしても敵に有効なダメージを与えやすくなるってことですか」
「まぁ、あくまでもそうなりやすいだけだからな。確実に敵を仕留めようと思ったら火力の高い武器で攻撃するほうがいいからな。ただ使いやすさを求めるのなら間違いなく小さくて軽いほうだと思う」
「結局は使う人の好みってことですか?」
「まぁ、ざっくりまとめるならそうかもしれないな。俺は使いやすさのほうが重視したいが瀬霜みたいなタイプの奴もいるからな。…俺はあんまり好きじゃないが」
弓削さんの言っていることは理解できるがそんな簡単なことじゃない。弓削さんの卓越した観察眼と正確な射撃があるからこそできる技だ。俺にはとてもできない。
「それで昨日の手帳のことだが、あれの中身は見たのか?」
「いえ、それどころじゃなかったですしそんな時間もなかったので」
「確かにそうだよな…」
「あれの鑑定結果は出たんですか?」
「いや、まだだ。剣持が見ているのなら何か先にわかるかもと思っただけだ」
「俺は正直、中に何か書いている可能性のほうが低いと思ってます」
「なぜだ?」
「だって前線で戦っているような戦闘員にそんな情報を持たせたら敵に情報が渡る可能性が生まれてくるじゃないですか。そんなリスキーのことやらないと思います」
「確かにな。だが敵は証拠となりうるすべてのものを処分している。もしかしたら全部処分することを前提としていろんなことを手帳に書いていた可能性だってある。まぁ、とはいえ可能性が低いことに変わりはないがな」
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