第97話 不穏の足音⑧
「2人はそんなにいろいろなものを注文するんですか?」
瀬霜さんはともかく、いつもちゃんとしている弓削さんまでもがそんな大量の装備を欲しがるとは思えない。彼ならきちんと隊の予算なんかも気にしているような感じがする。
「そうだよ。瀬霜さんは爆発物関係のものをよく追加で注文してくるね。ほんとどうやってあの量をあのペースで消費しているのかわからないぐらい。それに弓削さんはガンマニアだからね。新しいアタッチメントとかが販売されるたびにそれの購入申請をしてくるんだよ。もちろん任務に必要なものではあるから別にいいんだけどあんな量どこで保管しているんだか…」
「あぁ、、、確かに総司令部に試し打ちに行ったときいろんなアタッチメント持ってきてましたね」
「まぁ、管理できるならいいんだけどね。弓削さんのことだからそういうところはちゃんとしてると信じているよ」
隊長はそういうと全員が紙で提出した購入希望所をホッチキスで止めると、それを入れたカバンを持って部屋から出ていった。
「装備の不良はなかったか?」
「はい、特に破損しているものはありませんでした。ただ火力不足を感じたのは新しいライフルに変えようと思ってます」
「…もしかしてSCAR‐Hか?」
「はい」
「お前も瀬霜に染まったか…」
「そんなことないです!俺は大口径のものが使いたいから変えたんじゃなくて単純に火力不足を補うために変えただけです。逆に弓削さんは新しいライフルとかに変えないんですか?」
「あぁ、別に火力はSCARで十分だ」
「でも重武装兵とか出てきたらしんどくないですか?」
「そんなこともない。ちゃんと装甲が薄くなっている場所を狙って場所どりもしっかりすれば簡単に倒すことができる」
「…そんな簡単そうに言われても困るんですけど」
「実際簡単なことだからな」
「それは弓削さんの射撃の腕がやばすぎるからですよ!」
「…そんなこともないと思うけどな」
弓削さんは困ったようにそう言う。しかし、弓削さんの射撃の腕はとんでもなく良い。そもそも銃で狙った場所を正確に撃ち抜くということ自体が難易度が高いことなのに装甲の薄い場所を一瞬で見極めてそこを撃ち抜くってのはもはや人間離れしている。
銃には反動だってある。それに相手だって動いているしこっちの足元だってちゃんとしているわけじゃない。それを簡単にしてしまうからこそ弓削さんは最前線で活躍できるわけだ。
「ちなみに装甲が薄いところってのはどうやって見極めるんですか?」
「見極めるというか大体見たらわかるだろう?」
「見たらわかるってところの根拠を聞いているんです」
「…相手の着ているアーマーがどの種類かとか相手の体形とかで判断しているような気がするな」
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