第85話 襲撃㊱
俺たちが警戒しながらもだんだんと輪を小さくしていくのに連動していくようにヘリコプターの高度がどんどん下がってくる。そして俺たちの輪がミサイルのクレーターと同じような大きさになったころヘリコプターが俺たちの中心に着陸した。
そして地面についたヘリコプターの後方のハッチが開いて中から数人の自衛官が出てくる。
「急いで後方のハッチから乗り込んでください!」
自衛官の合図に合わせて近くにいた警官から乗り込んでいく。どんどんと近くにいる警官から乗っていき最後は
「みんなも早く乗って!」
俺たちは最後の最後まで周囲を確認しながらも走ってハッチに乗り込んでいく。
そして俺たちが全員乗り込んだことを確認したパイロットはすぐにハッチを閉めるとだんだんとローターの回転数を増やしていき機体を浮かせる。
どんどんと高度を上げていくヘリコプターの窓からさっきまで俺たちのいたところを見ながら俺たちは山から脱出した。
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俺たちを乗せたヘリコプターはそのままこのヘリコプターが所属している宇都宮駐屯地へと向かっていく。俺たちのいた地点から宇都宮まで地図で見ると相当遠く感じるが実際にヘリコプターに乗っているとあっという間である。大体1時間弱したころにはすでに窓の外に宇都宮の町並みが見えてきた。そしてだんだんヘリコプターの高度が落ちて行っていることが確認できる。
ヘリコプターが宇都宮駐屯地について後ろのハッチが開くとそこには大勢の自衛官や警察官があわただしく動いているのが見えた。そして少し離れたところには医療用のテントや救急車が待機している姿も見える。俺たちは自衛官たちの誘導に従いながらヘリコプターから降りていく。
俺は脇腹に傷を負っていたので医療用のテントに向かう。医療用のテントがある場所に向かうとそこには多くの警官が横に並べられ、治療を受けていた。こうやって見ている限りおそらく今回の脱出作戦に参加していた警官の半分以上が死傷しているのだろう。
「大丈夫ですか?」
俺が治療を受けている警官の数に呆然としていると近くにいた看護師が俺に話しかけてきた。
「あぁ、大丈夫だ」
「けがはないですか?」
「脇腹に一発もらった」
「わかりました。少し待っていてください」
看護師はそういうと大声で医者を呼ぶ。看護師に呼ばれた医者がこっちに走ってくる。
「脇腹を見せてもらえますか?」
俺は医者に指示されたとおりに服をまくり傷を見せる。すでに傷は止血しているので血は止まっているが相当強引に止血してしまったのか傷口周辺が変色している。
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