第82話 襲撃㉝

とはいえそれは今ここで俺たちが考えるべき内容ではない。ひとまずは彼らを非戦闘員たちがいる場所に連れていく。


俺が彼らを非戦闘員たちの場所に連れて行く間、瀬霜さんに俺の代わりを務めてもらう。結局、遠距離も近距離も対応できるマークスマンって最強じゃん。


俺が非戦闘員たちのところに行くとそこでは全員が一か所に固まって少しでも暖かく体を保とうとしていた。そして少し離れたところには数人の警官が並べてある。おそらくここで夜を過ごしているうちに事切れてしまった者たちなのだろう。


とにかく俺は彼らをその場に届けるとまた自分の持ち場に戻る。


俺がいない間も結局何か異常は起きなかったそうだ。


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そしてそのまま時間は過ぎていき若干空が白み始めてきた。


ただ油断はできない。敵が夜の間攻めてこなかったのはナイトビジョンがなかったせいかもしれない。そうとなると空が白み始めて視界が確保できるようになってくるこの朝の時間帯は敵が攻めてくる可能性が高い時間帯になる。


それに治安部隊パブリックオーダーの隊員たちも数日間寝ないで戦闘するような訓練を受けているとはいっても寝ないでいると寝ている時と比べてパフォーマンスの質は落ちてくる。それに今回は実戦の中でも相当しんどい類の実戦になる。こうなると俺たち治安部隊パブリックオーダーにとっても未知の領域といってもおかしくないだろう。ただこれからの数時間を乗り切ればおそらく救援のヘリコプターが来てくれる手筈になっている。それまでの辛抱だ。


俺は改めていつでも戦闘が始まっていいように銃の確認を済ませて草むらに隠れる。おそらくだがほかの治安部隊パブリックオーダーの隊員もわかっているだろうからとりあえずは瀬霜さんの報告待ちだ。


ただ10分、20分と待っても敵は現れない。すでに日は登っていて山の中とはいえ普通にナイトビジョンを着けなくとも視界が十分に確保できるようなってきているのに敵は現れない。敵としても時間はないだろうし時間を浪費するようなことはしないはずなのに。何か行動していることは確実だとして敵は何をしているのだろう?


もしかしたら俺たちが山の山頂方向から攻めてくることしか想定していないことを知ってわざわざふもとのほうから回ってきているとか?


…でもそんな回りくどいことをしなくても普通に平押しすれば戦力差でどうにかなるような状況だ。それにもし、ふもとのほうで何か動きがあったら隊長が伝えてくれるだろう。それがないということはふもとのほうでも何も動きはないということだ。


だとしたら敵はこの時間何をしているんだ?なにかタイミングを待っているのだろうか?だとしたらヘリコプターが俺たちを回収しにするときが危ないのか?でもわざわざなんでそんなリスキーなことをしているのだろう?

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