第81話 襲撃㉜

「その味方だと思っていた警官というのはいつもはいないのに今日だけ紛れ込んでいたということか?」


「いや、それがそういうわけじゃなかったんだよ。普段から見たことがあるような警官も俺たちのことを撃ってきやがった。そもそもなんでこんな山奥で護衛の仕事なんてあったんだ?こんなところに何かあるなんて聞いたことない」


顔見知りの警官から銃撃されたということはもともと県警に敵側の戦闘員が紛れ込んでいたということか?もちろんその仲間が錯乱状態で敵味方構わず動くものすべてを撃っていたなんて言う可能性だってあるが、だとしたらそれは限定的になるはずだ。それなのに様々の場所で警官の姿をした人物が銃撃をしていたということは県警には10人じゃきかないぐらいの敵が潜入していることになる。


そんなことが可能なのか?昔とは違って今の時代、警官になろうとしたら厳しい審査を突破しなきゃならない。もし何かやましいことがあるのならその時にはじかれるはずだ。まず間違いなく警官になることなんてできないだろう。しかもそのシステムは人間が動かしているんじゃなくてAIが完全に管理している。絶対に不正なんて起こるはずがないんだ。それなのに相当数の敵が潜入しているどういうことなんだ?考えられることとすれば警察に入ってからその組織とやらに入ったってことだが、だとしてもそんな人数が現れるわけがない。全くわからない。


「剣持、大丈夫か?」


暗闇から歩いてきたのは弓削さん。おそらく俺が警官を保護したことを聞いてこっちに駆けつけてきてくれたのだろう。


「はい、とりあえず敵ではなさそうです」


「わかった。お前たち、所属はどこなんだ?」


「俺たちは機捜隊ですよ。それも1班のね」


「それなら赤嶺隊長がどこにいるのかわからないか?」


「赤嶺隊長?赤嶺隊長って言ったら数か月前に行方不明になったって話ですよ」


「…数か月前に行方不明だって?それじゃ今の機捜隊の隊長は誰なんだ?」


「遊佐っていう地味な人ですよ。確かに仕事をできるんだけどリーダーとかそういうタイプの人じゃないですけどね。本当になんであの人が隊長になったのかわかりませんよ」


「…剣持、どう思う?」


「さすがにたまたまだと思いますけど、もし仕組まれていたのなら数か月前から俺たちの動きが完全に把握されていたということになります。それに不可解な人事というのも気になりますし」


「だよな。…もしかしたら俺たちは想像以上に何か大きなものに巻き込まれているのかもしれん」

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