第76話 襲撃㉗
そんなこと言っても今の俺にできることは少ない。とにかくあいつらにダメージを与え続けることだけが今できることだ。そしてだんだんと日が落ちてきていることも俺たちに味方する。
今回俺たちは室内での戦闘を想定して来ていたため全員がナイトビジョンを付けている。それに対してみたところ敵はナイトビジョンを付けていないようだ。そうなると夜の戦闘は俺たちに大きく有利な状況となる。日が暮れるまであと1時間ほどだろう。それまでが正念場だ。
そして重武装兵はどうやら2人で固まって動くのではなく1人1人で行動することにしたらしい。それは好都合だ。俺はじっと草むらに身をひそめる。今俺の3メートルほど先には重武装兵が軽機関銃を片手に俺を探している。
あと2メートル。だんだんと敵の息遣いまで聞こえるようになってきた。あと1メートル。見上げればすぐ真上に相手が見えるような距離だ。それでも俺はじっと息をひそめる。
そして敵が俺を通り過ぎようとした瞬間そいつを草むらに引きずり込む。俺はベストにつけてあったナイスを取り出すと装甲の合間の首にそのナイフを突き立てる。ちょうど装甲の隙間を狙ったその攻撃にはいくら重武装兵といえどなすすべもない。そうすると重武装兵は声を上げることもなく血を大量に流し始めて倒れる。
薄暗くなってきたこの時間帯はすでに俺たちにとって有利な状況だ。森の中では日が暮れていないといえど相当暗い。それこそ敵がヘッドライトを運用し始めるほどだ。
とにかくあと1人になった。俺はナイトビジョンを付けると敵の姿を視認する。そいつは地面にヘッドライトを当てながら俺のことを必死に探しているようだ。俺は必死に俺を探している重武装兵の真後ろまで近づくとさっきやったのと同じように草むらに引きずり込んで首にナイフを突き立てる。
これでようやく敵の部隊の半分を片付け終わった。俺はもう片方の敵部隊が進んでいったほうに向かって走る。
少し走ったところでそいつらはヘッドライトをともしながら俺のことを探しているようだった。どうやらぎりぎりで間に合ったみたいだ。非戦闘員たちがいるエリアまであと300mほどしかない。本当にギリギリの状態だ。それにまだ油断はできない。俺がここで敵を仕留めそこなって敵部隊が縦に間延びしたら非戦闘員エリアにまで戦闘区域が広がるだろう。それだけは避けなければならない。
とにかくさっき倒した重武装兵から鹵獲した軽機関銃を構えると手あたり次第に敵に向かって撃っていく。
俺がさっきまで使っていたライフルよりも断然この軽機関銃のほうが火力は高い。頭に当てれば2発ほどで倒すことができるし胴体でも5発ほどで敵はダウンする。
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