第77話 襲撃㉘

とはいえ敵も的になってくれるわけじゃない。俺が軽機関銃を乱射してから敵はすぐに身を隠すように草むらにしゃがみこんでから俺に向けて軽機関銃を撃ってくる。


俺も武器のグレードが上がって少し油断していたのであろう。唐突にとんでもない衝撃と痛みを感じてふと脇腹を見ると血が流れていた。俺は草むらに隠れると一瞬だけ軽く傷を確認する。


幸いがっつり脇腹を貫通しているわけではなく端っこのほうに弾があっただけのようだ。その周辺の肉が少し吹き飛んだがアドレナリンのせいかそれにしてはまだ動けるほどの痛みしか感じない。それに弾丸が体内に残っているわけでもないし出血がすごいわけでもないのでまだ全然戦えるだろう。


止血しようと思ったがどうやら敵がこっちに近づいてきているようなので

まずはそっちを片付けることにする。さっきみたいに草むらの中にうずくまって敵が近づいてくるのをじっと待つ。そして敵が自分から少し目を離したすきに敵に襲い掛かる。首にナイフを草むらに引きずり込もうとしたが相当力が強くなかなか引きずり込めない。その間に敵がこっちの方向をライトで照らしてきた。


やむを得ずその場で首にナイフを突き立ててそいつを処分してからそいつの体を敵の銃弾からの盾にする。敵は重武装兵なので敵の弾がこいつを貫通して俺に当たることはない。敵がリロードしている隙にそいつから手を放して草むらの中に姿をひそめる。最初の銃撃で2人。今ので1人処理できたのであと2人。奇しくもさっきと同じ数だけが残った。


しかしもうだいぶ日も暮れてきた。ここからは俺たちが圧倒的に有利な状況になってきている。俺は最後のグレネードを2人のもとに投げる。俺のグレネードは敵の少し前に着地してから敵の足元まで転がっていく。敵の足元に転がったころにはもう爆発寸前。これではもうよけることができない。至近距離でグレネードが爆発した2人はそのままことぎれた。


これでようやく俺のところに来ていた部隊を処理しきった。ただここからはさっきも言ったがナイトビジョンを着けている俺たちに圧倒的に有利な状況だ。ナイトビジョンを着けているといないのでは全然違う。


とにかく今俺がやるべきなのは脇腹に止血だ。草むらにかがんでその傷を見るといまだに血が流れている。出血多量で死ぬほどじゃないがそれでもなかなか見ることがないような量が流れている。俺はリュックに入っていた応急キットを手に取るとその部位を止血する。ついでに痛みを抑える成分の入っている注射も自分にする。今はアドレナリンがめちゃくちゃに分泌されているので大丈夫だがもし切れたらすぐに痛みで動けなくなるだろう。それへの応急処置だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る