第74話 襲撃㉕
頬に伝う血を指でなでると俺はそれを口に含んだ。いわゆる血の味といった鉄の風味が口の中に広がる。血の味は俺の口の中にこびりついてなかなか離れてくれない。それはまるでこれからの苦難を表しているように感じる。
『こちら剣持、敵を掃討しきりました』
『こちら弓削、同じく』
『こちら蒼葉、同じくだよ』
とりあえず第1波は何の問題もなく突破することができたようだ。とはいえまだ第1波。これからのことを考えればまだまだ、物語で考えるのならまだ始まってもいないぐらいだろう。
それからすぐに第2波、第3波と敵が流れてくるが俺たちは防衛線を下げることもなく処理していく。一般の警官たちの中には俺たちが戦闘していることを知り手伝うといってくれた者たちもいたがその者たちには下がっておいてもらった。彼らが活躍するのはここじゃない。彼らには今は後ろで休んでいてもらい救援が来てから頑張ってもらおうじゃないか。それが彼らにできることだ。
第3波を退けてからすぐに第4波が来た。しかも彼らは今までの敵とは違う。もちろん今までの敵の装備をよかったがそれと一線を画している。重武装兵といえるほどのアーマーを付けている。さらに手には軽機関銃を全員が装備しているのが見える。普通に自衛隊と戦っても全然勝てるような装備だろう。そんな重装備の黒い集団がまるで森を侵略していくかのように進んでくる。遠くから見ているのにも関わらず威圧感というものがすごい。
重武装兵は銃弾を一発頭にぶつけたところで死なない。何発も同じ部位に叩き込まないといけないわけだ。しかもそれが10人規模で来ている。さっきの3人組とは難易度のレベルが違う。とりあえずグレネードを集団に向けて投げる。
俺が投げたグレネードは敵部隊の中心に転がっていくとその場で爆発する。重武装兵といえどグレネードを至近距離で受ければ無傷とはいかない。2人の重武装兵が一撃で肉片になった。
だが、それで俺の位置がばれてしまったようだ。敵は俺がいる方向に向けて軽機関銃を乱射してくる。これはいったん撤退せざるを得ない。頭を上げないようにそのまま敵の側面を取るように動いていく。
間違いなく1人でこのレベルの装備をしている敵を10人同時に相手するのは厳しい。一つ救いがあるとすれば敵の練度が明らかに低いというところだろうか。もちろん個々の能力としてそこそこ高いものはいるが部隊としての連携に関してはあまり練度が高いほうではないだろう。もしかしたらどこかで雇ってきた傭兵の寄せ集めなのかもしれない。
敵部隊の練度が高くないというところを最大限に生かすためにとりあえず敵の目をかく乱しよう。まずは今移動した敵の側面からライフルを撃つ。一撃で仕留めることはできなかったが5発ほど連続で頭に当て続けることでようやく一人仕留めることができる。
それに今ので敵は混乱したはずだ。2正面から同時に攻撃されているんじゃないかと想定しなければならない。
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