第73話 襲撃㉔
山道を往復で6キロ進むというのは相当時間も労力もかかる。とにかく今の俺たちにできることは瀬霜さんの無事を祈ること。そして着々と集まってきている敵の後続部隊に対して攻撃をし続けることだけだ。
「剣持、あとどれぐらい弾薬は残っている?」
「ライフルはもうあと3マガジンだけです。拳銃のほうならまだフルで持っていますけど…」
「グレネード類のほうはどうだ?」
「フラッシュバンのほうがあと2つ、グレネードがあと2つ、スモークがあと4つですね」
「蒼葉君はどうですか?」
「僕も剣持さんと大差ない量かな。正直もうメインウエポンの弾丸数は心もとない数になってきているよ」
「わかりました。とにかく今まともに戦えるのはここにいる3人だけだ。それだけでどうにかしなきゃならん」
「でもこの弾薬数なら間違いなく途中で弾薬切れになりますよ?敵の持っている武器を鹵獲でもしていくのなら話は変わりますけど、そんな余裕があるのかどうか…」
「とにかく常に弾薬のことを考えながら戦うぞ。ただ出し惜しみはなしだ。ここですべての弾薬を使い切ってもいい」
「とにかくまずは今ここに迫ってきている敵の第1波を退けないとね」
「今回は瀬霜がいない。だから狙撃銃などの援護は期待できない。自分の持ち場は自分で確実に処理してくれ。バックアップを付ける余裕など今回はない」
「それじゃ、向かおうか」
蒼葉君はそういうと敵が迫っている方向に歩き出した。俺と弓削さんもそれに続いて歩いていく。今回の俺たちは勝たなくてもいい。とにかく時間を稼げればいいのだ。海保の時より格段に簡単じゃないか。絶対にできる。
俺たちは少しの間隔をあけながらも横一列になるように配置につく。それからすぐに敵の部隊が見えてきた。こうやって遠くにいるのにも見えるということは別にそこまで練度が高いわけじゃないのだろう。とはいえ敵の装備はこっちの装備とほとんど変わらない高性能なものだ。油断はできない。
俺は銃のサイトを遠距離用のものにすると頭が見えている敵からどんどんと撃っていく。敵は突然の射撃に混乱したように部隊が散らばっていく。今現在敵の部隊は統制が取れていないはずだ。そのすきに俺はとどめを刺すために接近して一人づつ仕留めていく。
ほとんどが全く反応もできずに死んでいくが数人腕利きがいるようだ。慎重に俺が近づいていたのにもかかわらず途中で俺に気づいて銃を撃ってきた。幸い俺がすぐに仕留めたので大事にはならなかったが頬に銃弾がかすったことで血が流れてくる。
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