第53話 襲撃④
実際ほかにも地下につながっているであろう箇所というのは発見されている。だからここで行き止まりなんて言うことはありえないはずなので全員でくまなく部屋の中を捜索する。
「蒼葉君、やっぱり何も見つかりませんよ」
「そんなわけはないんだけどなー、なんでだろう。もしかしたら僕たちが見落としているだけで他にも道筋があったのかな?」
「…一応戻って探してみましょう。ただあまり期待しないほうがいいのかもしれません。剣持、ついてきてくれ」
「了解です」
俺と弓削さんは一つ前の研究室のような場所に向かう。それにしても本当に何のために使われていた施設なんだろう。さっきはよく見る時間がなかったが今見ると本当にきれいに保たれている。まるで一回も使われていないような状態だ。
「剣持、お前は入口方向から何かにか探してみてくれ。俺はこっち側から探してみる」
「了解です」
弓削さんから指示された通り俺は階段のほうから何かないか探し始める。ただ探しても探してもまったく何も見つからない。人工物なのに全く人が使った形跡が見当たらないというのはなんとも不気味なことだ。
「こっちは何も見つかりませんでした」
「こっちもだ。それどころか人が使った形跡すら見当たらん。どんな清掃をやってるんだ。ここは?」
「明らかに人が作っているというのに人が使った形跡が全く出てこないなんて不気味ですよね」
「そうだな。とにかくいったん戻ろう。ここにはなんもない」
「了解です」
俺たちがもとの部屋に戻るといまだになかでは2人がいまだに手掛かりを探してる状況だった。
「結局何も見つかってませんか?」
「そうだね。こっちは何も収穫なしかな。そっちはどんな感じ?」
「こっちも何も収穫なしです。なんなら人が使っていた形跡すら見つけられませんでした」
「そっか。まぁ、ダメ元的なところだったししょうがないか。もうどうしようもないからいったん地上に戻ろうか」
まぁ、これ以上の情報をここから得ることもできないだろうししょうがないだろう。ただそれなら一つ疑問が残る。海保のヘリコプターは確かにここに収容されているはずなのになぜそれが見つからないのか。何かほかに道があるのか。それともレーダーの情報自体が間違っているのか、まったくわからない。
とりあえず先ほど下った螺旋階段を上っていく。そして階段を登り切って扉を開けるとそこには頭から血を流して倒れている数名の警察官が見えた。
「どういうことだ!?」
「とにかく司令部に連絡を入れて!全員警戒態勢!」
『こちら、蒼葉。どういう状況?』
『こちら司令部!所属不明部隊から襲撃!すでに赤嶺隊長を含めた数名が行方不明!』
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