第52話 襲撃③
瀬霜さんは不満そうにしながらも持ってきていたSCAR heavyを車に積んでいたカバンから取り出すと装備の準備をし始めた。
「剣持、スタングレネードはいくつ持ってきた?」
「自分用のものはグレネードもフラッシュバンも3つずつです」
「了解だ。蒼葉君はどうです?」
「僕は確か1つずつかな」
「わかりました。それならもしグレネード系統が必要な状態になったら初めに俺から使うことにしよう。もし俺の分がなくなったら剣持のやつを使ってくれ」
「了解です」
「それじゃ、みんな揃ったみたいだし行こうか」
「少し待ってください。今回忘れていたが中が暗い可能性も考えてナイトビジョンを持ってきてある。全員ヘルメットにつけてから中に入るぞ」
ナイトビジョンというのは暗いところでも見えるようにするような装置だ。暗視装置といわれることもある。ということで弓削さんが持ってきていたナイトビジョンを全員がヘルメットにつけてから中に通じる何かがあるであろう区域に近づいていく。そこに行ってみると一見普通の森に見えるが一か所だけ明らかに人の手でかぶせられた土がある場所がある。
弓削さんがそこの土を出て払ってみるとそこには金属でできた扉のようなものがある。
「ここが入り口だ。気を引き締めていけ」
弓削さんがそう言った後瀬霜さんがその金属の扉を開く。
中に入ってみるとそこには意外と広い空間に螺旋階段だけがあった。下は闇となっていてどうなっているのかわからない。
「慎重に行け。ここから先は何が起こるかわからない」
蒼葉君と弓削さんが先頭になってその階段を下りていく。階段を見ればわかるが割と新しく作られたもののようだ。錆だって少ないしもちろん崩れ落ちそうな段もない。ただだからこそいくつもの足跡も確認することができる。やはりここには複数の人間が出入りするような施設があるようだ。
螺旋階段を下りていくと下のほうからだんだんと明かりが見えてくる。
そして階段を降り切るとそこには何かの研究室のようなものが見える。いくつかの人間が入るようなサイズのカプセルが置いてありいかにも秘密の研究室といった感じだ。
「弓削さん、これは何なんですか?」
「わからない。ただこんなところにあるんだから何かしら非合法のことをやっているんだろう。とりあえず先に進むぞ」
さらに先に進むとそこにはとても広い空間が広がっていた。まるで何も構築されていないバーチャルの世界のような場所だ。白い壁の空間の中には何もない。
「警戒して。いつ攻撃されるかわからないよ」
ただ不自然に何も起きない。怪しすぎる。こんな空間を何に使っているというのだろうか。とはいえ観察していると白いだけではないことがわかる。数か所にわずかだが赤いしみが確認できる。
周囲を警戒したが襲撃されるような場所がないことがわかると肩の力を抜く。
「とりあえず、先に進もうか」
「しかし、この部屋には扉が俺たちが入ってきたところ以外に見当たりません」
「でも地下空間にはいくつかの出入り口があるって話でしょ?それなら見えてないだけで絶対に何かあるだよ?」
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