第43話 凶報⑮
その部屋を出ると階段を上って一つ上の階層に向かう。一つ上の階層に向かうとそこには居住区と食堂などがあった。
「こっちだよ」
少年はそういいながら迷うそぶりも見せずに進んでいく。時々海保の職員にばったりと出くわすこともあるが俺か少年が一瞬で仕留めてしまうので障害にはならない。しかもなぜかわからないが職員は1人で行動している場合が多いため簡単だ。なぜ2人以上で行動しないのだろうか。もしかしたら俺の想像以上にこの船にいる船員は少ないのかもしれない。
「とりあえずここを占拠しようか」
少年はそういうと警戒もせずにそこの扉を開けた。
扉を開けた先には何かを計測するような器具がおいてあり数人の海保の職員があわただしく動いていた。
彼らはこちらのことを見るとぎょっとしたような表情で腰に手を伸ばすがそうしようとした瞬間に俺と少年が職員に鉛球を撃ちこみ絶命させる。
「ここは測量室のような場所だよ。まぁ、測量室と言っても実質的には航海の道のりなんかを計算する場所なんだけどね」
「それでどうしてここを占領したんだ?」
「ここはね、この船の心臓部と言っても過言じゃないんだよ。ここから出る指令をもとにこの船は操作されているんだ。だからここを占領されるとこの船は目的地に行けなくなってしまうんだよ」
「なるほど。それでこの船をどこに向かわせるんだ?」
「どこにも向かわせないよ?ここで停泊させるんだよ」
「…は?今はここからどうやって脱出するか考えるんじゃないのか?」
「敵の内部に入れたのに脱出なんてもったいないよ。それにもし自衛隊とか警察のほかの部隊に任せたら功績が横取りされちゃう。せっかくのチャンスなんだからここで暴れていかないと」
俺があっけにとられている間に少年は勝手に機器をいじって船を停泊させてしまう。
「それじゃ、狩りに行こう」
「…わかった」
俺はしぶしぶ少年についていくことにする。それに確かに敵の内部に入れているこの状況はとても有利だ。ここには組織の幹部だと思われる人物のほかにも協力している海上保安庁の高官までいるのだ。こんなチャンスは二度と訪れないかもしれない。
ということで俺たちは測量室を出るとさらに上の階に向かうために階段を上る。
どうやらこの階には俺がさっき天井にある排気口から盗み聞きしていた作戦室なんかがあるようだ。そしてここまで来るとさすがに警備を厳重になってくる。階段を上ったところで海保の職員の集団に出会ってしまった。
俺たちもとっさに数発銃弾を撃って敵の人数を減らしたがさすがに全員を倒すことはできない。残った職員が拳銃を撃ってくる。とりあえず俺と少年は近くにあった物陰に隠れてそれをやり過ごす。
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