第44話 凶報⑯

「ここからどうするんだ?」


「そうだねー、まぁここまでくる間に相当の人数を消しているから少しぐらい時間を使っても問題ないんじゃない?」


「いや、もし階段の下から応援が来たからどうするんだよ。完全に挟まれる」


俺たちはそうやって話し合いながらも撃ちあいを続けている。相手の人数を着実に削ることはできているがなかなか減らない。それに応援がどんどん来ている感じもする。このままじゃじり貧だ。


「うーーん、そうだなー、それならスタングレネードを使って切り抜けちゃおう」


「持っているのか?」


「いや、僕は持っていないけど持ってるんじゃないの?」


「まぁ、持ってはいるが1つしかもっていない。ここで使うとこれからはそれなしで行かなきゃならない。それに弾薬数だって心もとない。ここではできるだけ使いたくない」


「それならグレネードを吹き飛ばす?一応船の内部とはいえここでなら多分大丈夫だと思うけど」


船の中で爆発物を使うなんて言うできることならしたくないような危険な橋だが弾薬の数が危なくなってきている。最悪海保職員の拳銃を拾えばどうにかできないこともないがそれでもその場しのぎにならないしそもそも拾って弾薬を探している暇なんてない。


「…それで行くしかないか」


俺はグレネードを腰からとるとピンを抜く。


「伏せろ!」


そういうと俺はグネレードを海保職員に向けて投げつける。


海保職員も俺がグレネードを投げたことには気づいてようだが船内の狭い通路ではどうしようもない。まもなくしてグネレードが爆発して退避しようとしていた海保職員たちを吹き飛ばす。


俺の投げたグレネードはあまり破片が飛び散らないようなものなので俺たちには被害がない。ただ海保職員には甚大な被害が出たようだ。破片が少ないと言えど爆風は発生する。近距離で生身の人間が浴びればひとたまりもないだろう。とはいえ通路ごと吹っ飛ばすようなものじゃない。壁や床が破損している箇所も見えるがまだ使えないこともないだろう。


倒れた海保職員の横を走り抜けていそいでその場から離れる。走っている途中でも数人の海保職員がいたがすべて少年に瞬殺される。


おそらくもうこの階もクリアリングできたはずだ。残っているのは艦橋部分だけだ。おそらくそこに八潮から逃げたあいつとこの船の艦長など幹部クラスが集まっているのだろう。


そうなるとここからは精鋭部隊といった強敵が出てきてもおかしくない。装備だって俺たちと同等クラスかもしれない。今までの敵は拳銃しかもっていないかったがそれこそグレネードなんかもある可能性がある。それに少年の弾薬だってもう少なくなってきているだろう。相当ぎりぎりの状態で戦うことになるはずだ。


使いにくいが俺のライフルを使えばどうにかならないこともないが不安が残る。

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