第29話 凶報
その写真を俺の手から受け取ると弓削さんは何かを考えているような表情で黙り込んでしまった。
そして少しするとこっちに顔を上げる。
「それは今回の被害者だけか?」
「いえ、どうやら前回のペントバルビタールでの変死者にも首筋に同じようなタトゥーが彫られていたようです」
「そうか。…まさかとは思うが俺が調べておくか」
弓削さんはそういうとぶつぶつと何かをつぶやきながらそのまま部屋から出て行ってしまった。
俺は何をしたらいいのかな?なんかやることを指示されているわけでもないし今回の事件の捜査っていうのはどうやら弓削さんがあっちと協力してやるみたいだから俺は本当にやることがない。
ということで自分の保管庫を開けて自分の装備の確認をしていると九条君から呼ばれた。
「剣持さん、ちょっといいかな」
そういわれて渡されたのは俺が頼んでおいたベネリM3。どうやらやっとのことで届いたみたいだ。
「カスタムはもう勝手につけているけど自分で取り換えていいからね」
そしてこの銃用にカスタマイズまでそろえてくれたみたい。さすが
「そういえば弓削さんはどこに行ったのかな?」
「弓削さんは先ほど自分で調べるとか言って出ていきましたよ」
「調べる?何を?」
「ペントバルビタールを使った連続変死事件ですよ」
「…そう。まぁ彼が自分で調べるということはそういうことなんだろうね。これは僕も備えておかないといけないね」
「備えておくですか?」
「うん。彼は戦闘の腕も一人前だけど捜査の腕も一人前なんだよ。その彼が何かをかぎつけたんだ。近いうちに絶対に何かがあるってことだよ」
弓削さんってすごいな。俺も一応捜査の事とかも知識には入れているけどさすがに実践することはできない。常識的に考えれば実力行使部隊の弓削さんが捜査もできるなんてことはあり得ない。
「まぁ、多分だけど今日か明日には何かが来ると思うよ。このことは2人にも伝えておいてね」
そういうと九条君も部屋から出て行ってしまった。今部屋に残っているのは俺と机に座りながらスマホをいじっている菖蒲さんと相変わらず机の下で寝ている瀬霜さんの2人。
なんか九条君と弓削さんがいなくなったとたんいきなり仕事場っていう感じの雰囲気が飛んでいったな。まぁとりあえず2人も伝えておかないと。俺に起こされて不機嫌そうな瀬霜さんと相変わらずスマホをいじっている菖蒲さんに九条君からの伝言を伝える。
「菖蒲さん、瀬霜さん九条君から伝言なんですけど備えておけということです」
「備えておけって何に?」
「弓削さんが一人で何か調べていてそれにだそうです」
俺がそう言った瞬間に2人からまじめな雰囲気が流れる。
「今、弓削くんが独自に調べていることがるって言った?」
「はい、そういいましたけど」
「「最悪だー!」」
2人はそういうと頭を抱えてうずくまった。
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