第25話 模擬戦⑩

九条君が話している感じからして多分今九条君が話している男性は福岡の隊長なんだと思うけど、だとしたらなんでSATの隊長にも敬礼していなかったのにするんだろう。


どの地域の隊長も階級は同じはずだし何なら東京の隊長が一番発言力とかあると思うんだけどな。


俺がそんなことを考えているうちにどうやら隊長同士の話も終わったみたい。別に今日はこの後に何かすることとかもなしはずだしゆっくりして帰りたいな。


「それじゃ、みんな帰ろうか。瀬霜さんと剣持さんの模擬戦だけど今日は疲れていると思うから今度ってことで大丈夫?」


「はい、もう今日は疲れました」


「そうだねー。俺も早く帰りたいな」


「オッケー。それじゃ、車に乗って今日は帰ろうか」


俺たちはもともと荷物をまとめていたこともあってすぐに帰れる状態だったのでとりあえず車に荷物を積み込んでそのまま帰る。


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「それで日野君今回のことについてきっちり説明してもらおうかな」


時間は少し戻って模擬戦の直前、私こと日野成美ひのなるみは隊長である成田さんに怒られていた。


「説明するといっても東京のやつが喧嘩を売ってきたのでその喧嘩を買ったということだけですけど」


私はふてくされたようなオーラを全開で隊長に返事をする。


「あーー、なるほど。完全に理解した。まぁ、起きてしまったことはもうしょうがない。このことはきっちりと後で反省文を提出してもらうことにしよう。もちろん喧嘩を買ったからにはこの勝負に勝ってもらわないと困るよ?」


「もちろんですよ。あんな子供のままごとで楽しんでいる部隊なんて叩き潰してやります」


私は自信満々な表情でそう答える。


「はぁ、まぁこれで日野君が更生すると考えれば九条君には申し訳ないけど悪くはないかな」


隊長が何かつぶやいているがよく聞こえない。ただどうせネガティブなことを言っているに違いない。うちの隊長は弱腰だからしょうがないか。


弱腰の隊長の事なんかほっておいて今回の作戦について考えよう。今回のメンバーは私を含めて3人。うち部隊、本当は所属している15人全員がいざとなれば戦闘できるんだけどそもそも今日は5人しか着ていないし相手も3人しかいないのでそれに合わせている。


隊長がしょぼすぎて必要な人数すら集まっていないとか東京も終わってるな。


まぁそのことは私が東京に行って変えてやるとして東京のやつらをどれだけみじめに殺すかといういうこと。これが一番の課題だ。なめた装備で敵を完全につぶすのも楽しいとは思うけどそれじゃ物足りない。


相手に勝ったと思わせてからすぐに地獄に叩き落してやる。そうやって相手の作戦を粉砕することが一番の勝ち方だ。

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