第21話 模擬戦⑥
1つ下の階に降りると目の前に改札がある。
これより下の階は駅のホームになっているのでだんだんと戦いにくくなるからなるべくならこの階で決着をつけてしまいたい。
たださっきと同じやり方でもつまらないから今回は俺と弓削さんが分かれて階段から降りてくるであろう敵に対して十字砲火ができるような立ち位置にする。もし俺たちのことを追ってこの階段から降りてきたらこれだけで仕留めることができるはず。
ただもしかしたら俺たちが下りてきた階段とは違うところから降りてきて裏を取られる可能性もあるからそれには十分に気を付ける。
ここからは隠密性が重要になってくるので会話も無線を使わずにハンドサインでする。お互いの姿は確認できるようになっているのでこれである程度は伝えることができる。
そしてどうやら俺たちのはっていた階段ではなく弓削さんの背後にある階段から降りてきたようだ。さすがに俺たちの思惑通りに十字砲火できる状況じゃなくなったけどそれでも十分に有利な状況。撃ち負けるってことはないだろうから気を付けるべきなのは2人とも同時に一撃でやられるようなグレネードとかスモークで互いの位置が分からなくなって同士討ちすること。
ただスモークで射線を切られても弓削さんも今回はサーマルサイトを付けてきているから戦えないことはないけど俺はつけていないので戦闘に参加できなくなる。そうなると数的優勢が崩れかねないから十分に注意をする必要がある。
そして敵は振りかぶって何かを投げてくる。飛んできたものの形を見るにおそらくフラッシュバンを投げ込んできた。フラッシュバンをもろに食らうと目が一時的に見えなくなるから閃光を食らわないように目をつぶる。
フラッシュバンの閃光はめちゃくちゃ強いので目をつぶっていてもいつ爆発したかわかるはずだ。それなのに目をつぶっていても閃光を感じない。
恐る恐る目を開けてみるとそこにあったのはフラッシュバンを模しただけのプラスチック。まずい。デコイグレネードだ。敵の姿を見失った。
「デコイ!」
まずは弓削さんに状況を伝えることが先決。
ただそうしている間にも敵はどこかから撃ってくるかもしれない。周りに動くものがあれば迷わず撃ちこむ。
「わかった!敵はどこにいるかわからない。気を抜くな!」
「了解!」
ずっと隠れていても何も進まないので死角を一つ一つクリアリングしていく。そうしていると今度は本物のグレネードが投げ込まれた。
「グレネード!」
俺はまず自分が攻撃を食らわないように退避しながら弓削さんに伝える。おそらくこの距離なら何にも影響はないと思うし一応の連絡だ。
「仕留めた!」
グレネードから退避している間に弓削さんから撃破報告が聞こえる。たぶん俺に向かってグレネードを投げようとして出てきたところを撃ったのだろう。
でも投げた本人が死んでもグレネードは爆発する。俺は全力でその場から離れる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます