第20話 模擬戦⑤
「ブローニングだと使用するのは12.7mmの弾丸ですよね?俺たちがつけているボディーアーマーだと余裕で貫通しますよ?」
「確かにそうだな。それに俺たちは今狙撃手がいない状況だ。こんな状態で機関銃とまともにやりあっても勝機は少ない」
「それならどうするんですか?情報を持っていてもどうしようもありません。正直打開は難しい状況ですよ?」
「俺たちは銃しかもっていないのか?そうじゃないだろう。スモークだってグレネードだってフラッシュバンだって持っている。それをうまく使えばまだ打開できる」
「…確かにフラッシュバンで視界を奪えばどうにかなるかもしれません。そうなるとまずはSCAR持ちを片付けないといけませんね」
「そうだ。ブローニングをもって移動することは難しいだろうから幸いにもSCAR持ちと戦う時はブローニングは邪魔してこないだろう」
「それではどこでやりますか?」
「地上だと、ブローニングの乱射が怖いだろう?」
そういう弓削さんはニヤリと笑った。
「地下だよ」
ということで俺たちはSCAR持ちを地下におびき寄せるためにわざと痕跡を残して移動をした。もちろんわざと痕跡を残しているっていうことがわからないようにさりげなく。
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痕跡を残して俺たちはA8出口の階段が見えるような位置に隠れて待ち伏せた。もちろんいつでも戦えるように銃を構えている。体の一部が見えた瞬間にそこを打ち抜く勢いだ。
俺たちが待ち伏せを始めてから15分ほどしたころ階段の上から足音が聞こえてくる。
俺たちは銃を構えなおして体が見えた瞬間に撃てるように態勢を整える。
そして階段のほうを見ていると何かが投げ込まれた。
「グレネードだ!伏せろ!」
弓削さんがそういうのと同時にグレネードが爆発する。爆発した瞬間に階段の上からSCARを持った隊員が銃を乱射しながら地下に入ってきた。グレネードを避けるためにかがんでいたから銃弾が当たることはなかったが制圧射撃としては十分すぎる効果がある。
ここまで弾幕を張られるとさすがに打ち返すことができない。もちろん相手がリロードする時間もあるが相手は相当な手練れ。リロードにあまり時間はかからないので反撃のチャンスにはなりえない。
「弓削さん、ここは一度体勢を整えるためにいったん引きましょう」
「…そうだな。この階層は放棄してもう一つ下の階層に移動だ。逃げるとき背中を撃たれたらたまらない。スモークを焚いておくことを忘れるなよ」
「わかりました。スモークを投げます」
弓削さんに言われたとおりにスモークを投げて射線を切ってから一つ下の階層に撤退する。
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