第19話 模擬戦④

「伏せろ!」


瀬霜さんが狙撃をした直後に弓削さんがそう叫んだ。


その瞬間瀬霜さんがいるところが激しい銃撃を受ける。弓削さんの声のおかげで少しは対策ができたとはいえ瀬霜さんは側面から激しい銃撃を受けて倒れてしまった。体のところどころから出血しているのが見える。


「くっ…」


呻く瀬霜さんを引きずって安全なところまで避難させる。


「大丈夫ですか!瀬霜さん」


俺は応急処置のために瀬霜さんのボディーアーマーを外す。そこそこの性能のボディーアーマーと言えど機関銃の銃撃をもろに食らったらただでは済まない。実際ところどころボディーアーマーに穴が開いていてそこから大量の出血が確認できる。


ボディーアーマーを外して応急手当をしようとするが出血箇所が多すぎてどこから治療したらいいかわからない。応急処置のやり方を教わっているといってもあくまでかじった程度だ。そんな高度なことはできない。しかもどうやら右の肩に銃弾が貫通しているようでもう右腕は使い物にならなそうだ。


とりあえず出血が多い箇所から止血を施していく。まずは貫通してしまっている箇所を止血する。だが傷が大きすぎてなかなか血が止まらない。出血をしているのはこの箇所だけではない。こうして止血に手間取っている間にも大量の血が体外に流出してしまっている。


「剣持君、もう俺はダメ。もう視界もぼやけているし、一命をとりとめたとしてもこの戦いじゃ使い物にならない。だからもう俺には応急手当をしなくても大丈夫」


「でもっ!それじゃ、瀬霜さんが!」


「俺から喧嘩を吹っ掛けたのに一番最初に抜けてしまって本当にごめん。あとは頼んだよ」


瀬霜さんはそういうと目をつぶりそのまま体が透けていく。瀬霜さんはそのままつけていた装備だけ残して消えていった。


「剣持、ここを離脱するぞ」


「…わかりました」


「瀬霜が持っていたグレネードだけ回収していく」


俺たちは瀬霜さんの持っていたグレネードを回収するとそこから離れた。


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俺たちは渋谷スクランブルスクエアからそのまま銀座線ホーム方向に向かっていった。


ここはヒカリエ、地上、JR渋谷駅に行けるのでだいぶ場所としては使いやすい。欠点を言うなら高所というわけじゃないから近くにある高いところから銃撃されると手も足も出ないこと。


「弓削さん、これからどうするんですか?瀬霜さんがやられてしまったことで狙撃をできなくなってしまいましたよ」


「そうだな。確かにピンチだがこっちが一つだけ有利なことがある」


「…何ですか?」


「情報だよ」


「…相手の装備ですか?」


「あぁ、そうだ。相手はブローニングを使っている機関銃手一人とSCARを使っているのが一人だ。ボックスマガジンの形からして5.56mmのほうだろうな」

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