第18話 模擬戦③

「それじゃ、みんな頑張ってきてね。今回は僕と菖蒲さんはそっちと通信できなことになっているからあとは任せたよ。臨機応変に動いてね」


「「「了解」」」


ということで両チームの作戦タイムも終了。ついに模擬戦が始まる。


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転移するところは指定できるので作戦会議で拠点にすることが決定した渋谷スクランブルスクエアに転移する。


目を開くとそこには渋谷の街が広がっていた。


本当に完成度が高い。正直仮想空間って言われないとわからないぐらいに違和感がないし、壁とかを触ってみると実際に触っているかのように感じられる。しかも装備の重さとかもちゃんと感じるようになっているし本当にそこで生きているみたいな感覚になる。聞いたとこによると銃弾が当たったりするとちゃんと痛みと衝撃を感じるようになっているらしい。マジで現実で戦闘しているのと全く変わらない。


「剣持、大丈夫か?現実みたいとは言ってもやっぱり少し感覚にずれを感じるやつもいるからな」


「はい、自分は大丈夫みたいです。正直全くずれを感じません」


「そうか。それならとりあえず、瀬霜が敵を発見するまではおとなしくしよう」


瀬霜さんの様子を見るとすでに窓を割って狙撃の態勢をとっていた。そしてどうやら使っているスコープはサーマルサイトらしい。これで敵を発見して攻め込むということだそうだ。


「弓削さん、これって敵を発見したほうが圧倒的に有利な感じですか?」


「そうだな。それだけで勝負が決定的になるってことはないが情報はあればあるだけいい。例えば敵の装備がわかるだけで簡単な対策を立てることもできるからな」


「なるほど」


「…見つけた」


俺たちが話していると瀬霜さんが唐突に言った。


「どこだ?」


「ヒカリエとここを結ぶ渡り廊下の中」


それを聞くと弓削さんは双眼鏡をリュックから取り出して、それを覗く。


「なるほど。確かにあそこにいるな。どうする?あそこからここに入られると室内戦になるぞ。そうなると狙撃銃が使えなくなる」


「それなら今狙撃する」


「大丈夫か?相手は防弾盾を持っているみたいだぞ」


「俺は対物ライフルを持ってるから余裕で貫通できる」


「確かにそうだな。それでは仕掛けよう。まずは狙撃で確実に一人。それを確認でき次第、交戦距離を縮めてライフルで応戦するぞ」


「「了解」」


「照準が合い次第撃ってくれ」


「わかった」


瀬霜さんはそう短く返事をすると一呼吸おいてからトリガーを引いた。


爆音の発射音と共に発射された弾丸は渡り廊下のガラスを突き破りそのまま防弾盾を貫通。そして防弾盾を持っていた隊員の胴体に直撃しそのまま一撃で体を吹き飛ばした。


隣で仲間が吹き飛ばされたもう一人の隊員は慌ててスモークを展開して俺たちの射線を切ろうとしてくる。だが、瀬霜さんが使っているのはサーマルスコープ。体温がある限り瀬霜さんから逃れることはできない。

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