第11話 初実戦③
弓削さんがそう宣言するとまずは中を偵察するために防弾ベストに取り付けてあったポーチからスネークカメラを取り出して中に潜ませていく。
その映像は弓削さんのボディーカメラを通してこっちのモニターにつながっているので、そちらを見てみるとどうやら鍵は開いているようだ。でも中にはバリケードが敷いてあって簡単には中に入れないようになっている。
「瀬霜、中にはバリケードが築いてある。もし強引に突破しようとしたら人質が危険になるだろうな」
「それならバリケード越しに撃てば良くない?犯人は銃を持ってないみたいだしそれでバリケードを突破すればどうにかなると思うけど」
「犯人を撃てるところまで誘導する方法は?」
「うーーん、とりあえずからの薬きょうとか投げればこっちに来てくれるんじゃない?犯人はだいぶ神経質になっているはずだから小さな音でも反応すると思うよ」
「かなり博打だが、わかった。それなら俺が薬きょうを投げるから瀬霜が撃ってくれ」
「了解」
そういうことで2人の作戦は完結したみたい。隊長が何も言ってないことから考えるとそれで大丈夫ってことなんだろうけど、俺としては不安が残る。だって普通に考えてそんな普通に銃撃していいの?射撃許可とかいらないのかな?
俺がそんなことを考えている間にも2人は慎重にドアを開けて中に入っていく。中はさっきスネークカメラで見た通りで扉の前にはバリケードが敷いてある。バリケードには受付に置いてあった椅子とか机を置いてるみたいだ。…でもこんなの1人で持ってこれるかな?
「投げるぞ」
弓削さんはポケットから空の薬きょうを取り出すとバリケードの向かい側に向かって投げる。
弓削さんが投げた薬きょうは小さな音を立てながら2,3回跳ねると壁に当たって止まった。
その直後犯人に動きがあった。こっち側にあるモニターは2人の事だけじゃなくて犯人のことを外から移したものもあったんだけどその中で犯人は音がしたほうに向かって人質には目もくれず急いで移動していく。
『犯人に動きあり、裏口に向かっていった様子』
『了解』
その通信があって少したってから瀬霜さんが発砲する音が聞こえる。モニターにはまだ犯人の姿が映ってないけどどうやら瀬霜さんは視認出来たみたい。
そしてこちらからは見えないが何か大きなものが倒れるような音と人のうめき声が聞こえる。おそらく銃弾は犯人に当たったのだろう。
『突入だ』
その弓削の号令と同時にSATも動き出す。強引に正面の扉をこじ開けると中にいた人質の安全を確保する。
その間に2人はバリケードを崩してうめき声をあげる犯人を捕らえる。
『作戦成功』
『お疲れ様。救急車がすでにそっちに向かってる。犯人はSATに任せていいみたいだから犯人を引き渡してからそこから引き揚げて』
『了解』
ということで俺の初めての仕事はただ2人の活躍を見ることで終わった。
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ちなみにこの時、瀬霜はデザートイーグルが使えなかったのでグロック19を使ってました。
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