第6話 マニュアル

「一応、治安部隊パブリックオーダーの正規の銃は置いてあるが、これはどんなように使ってもいいぞ。改造したっていいし、使わなくてもいい。実際ここでは全員自分の好きな銃を使っているな」


「ちなみに、正規の銃は何ですか?」


「ピストルはベレッタGlock19、ライフルはSCAR、サブマシンガンはAPC9だな。銃以外にもグレネードとかの装備関係の物ならそこに入れて保管しておいてくれ」


さすが、特殊部隊。個人に銃の管理を任せるなんて警察官学校を卒業してからさらにそこからそれ専用の教育をされるだけある。物騒ではあるけどここに選ばれるような警官たちは完全に管理されているようなものだし、盗難のことも声紋認証が使われているようだし大丈夫だよね?


「何か使いたい銃とかあるか?あるのならこっちで手配して用意しておくが」


うーーん、治安部隊パブリックオーダーの養成機関でいろんな銃を触ったとはいってもあんまりこだわりはないんだよね。それに俺はスナイパーじゃないから照準器にもあんまりこだわりはない。


「それなら、ショットガンのベネリM3だけお願いできますか?」


ベネリM3とはイタリア製のショットガンで世界各国の警察や軍隊で使用されていたもの。日本でも海上自衛隊の護衛艦に配備されていたらしい。すでに50年以上も昔に開発された銃だがその性能は今でも普通に使うことができるぐらい高い。ちなみに銃の新規開発というのは2034年を境に禁止された。もちろんあくまで批准している国限定だが加盟国には世界の大国と言われる国のすべてが加盟していて相当効果の高いものになっている。


俺が警察官学校時代に触った銃の中で一番のお気に入り。それに突入部隊の俺には相性がいい。


「ベネリM3か。わかった、こっちで手配しておこう。ただだいぶ昔の銃ということもあって少し時間がかかる。それまではサブマシンガンで我慢してくれ」


「了解です」


「それじゃ、机の中にマニュアルとか入っているから読んでおいてくれ。今日はそれさえやってくれればいい」


そういうと弓削さんは九条君がいる部屋に入っていった。


それにしても自分で使いたい銃を指定できるってすごいな。何でもいいのかな?自衛隊が配備していないような銃でも取り寄せるってことできるならそれはマジですごいけど。


まぁ、そんなことよりも弓削さんが言っていたマニュアルっていうのは机の中に入っているらしいけどこの引き出しの中ってことでいいのかな?


マニュアルを取り出すために机の引き出しを引こうとするがなかなか開かない。どうやら中で何かがつっかえているみたい。でもマニュアルを読まないといけないから強行突破。


紙がくしゃってなる嫌な音が鳴って引き出しを開く。すると中からとんでもなく分厚い本が出てきた。…いや、マジでなにこれ?冗談抜きに広辞苑ぐらいの太さがあるしなんなら机の引き出しよりも分厚いんだが?


机の中で詰まってたの絶対これだろ。そもそもどうやって引き出しよりも分厚い本を引き出しに入れたんだよ?それとマニュアルってのはどこにあるの?


…まさかこの分厚いのがマニュアルなわけないし絶対どこかに入っているはずなんだけどな。、、、わかってるよ。俺だって馬鹿じゃないんだし。でもさ…さすがにこれをこれから読まないといけないなんてやりたくないじゃん。というか無理だって。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る