第20話 受験勉強

 実は、手話の試験にも、参考書という物が存在します。

 まぁ、資格と名の付くものには、ほとんど参考書が存在するのだから、不思議ではないですけど。ただ、手話の参考書は、ページ数が多くて分厚く、とても重い。持ち運びに向いているとは、言いがたいものです。(下手すると手首を痛めます!)

 これが他の言語なら、もう少し薄く出来たでしょう。というのも、手話は『見る言語』と言われているだけあって、イラストや写真が多く載っているからです。早い話が、文章では表現しづらいわけですが。

 もちろん、言葉で表現出来ない訳ではありません。ただ、動きや指の形などを全て言葉にすると、読んで理解するのが大変です。それと比べて、イラストや写真で示すほうが、何倍も簡単なので。


 重い教本で、通勤時間は勉強します。写真やイラストを見ながら、右手を軽く動かしてみたり。

 あまり混んでいると、手を動かせないので、その時は、手を動かしてガマンしました。


 手話の写真やイラストだけを見て、なにを表しているのか、やってみると意外と出来ます。

 それではと、今度は逆をチャレンジ。

 単語だけを読んで、手話を思い出しながら、実際にやってみたわけです。写真やイラストは一切見ないマイルール。

 すると今度は、半分もわかりませんでした。

 読めるけど、思っていることが表せないのでは、コミュニケーションがとれません。

 なぜなのか、心当たりはありました。

 私は手話をとして認識していたのです。それが誤りだと、気付き始めていました。


 手話の形や動きには、意味のあるモノが多くあります。

 例えば『電車』という手話は、電線と電車の上に付いていたパンタグラフを表しています(パンタグラフだけを表す場合もあります)

『救急車』は、救急車の上のライトがクルクル回って、走っている状態です。

 時間は掛かりますが、一つ一つ語源を調べてからの方が、覚えやすい(人によります)のではないでしょうか。どちらかといえば、私はそのタイプなのだと思います。


 余計なことを考えず、何かに集中するのは、嫌いではありません。わからないことが、わかるようになっていくのは、単純に面白いですし。

 私は、頭が良い方ではないので、なにか少しはマシな人間になれるような気がして、それが嬉しいのです。


 試験を前にして、少し浮かれていたのかもしれません。

 普段なら、絶対にしないようなミスを、私は職場でしてしまいました。

 仕事上のミスではありません。

 次回、詳しく話させていただきます。

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