第3話 インターネットで勉強を始めてみた

 本が来るまで、インターネットで勉強をすることにしました。


 まずは、簡単な手話から覚えてみようと、さっそく勉強をスタート。

『あいさつ』や『自己紹介』や『曜日』など、たいした数ではありませんが。

(30個にも満たない数の手話です)

 それでも、手話が他の言語と違う、いくつかの点に気付かされました。付け加えると、

それが独学を困難にしている原因にもなっているようです。


 例えば。

 覚えたい手話を、インターネットで検索してみました。するとイラストで手話の動きや、指などの形を表したものが出て来ます。

 これは一見、とてもわかりやすそうです。

 ですが実際にやってみると……なんとなくは理解できるのですが、どうも良くわかりません。

 二次元で三次元を表現することに、そもそも無理があるのでしょう。

 スピードや、動きのテンポ。形が変わるときの移行の仕方など。一度でもやった人なら、イラストだけで理解するのが、いかに困難なことか理解できると思います。

 実際に見てみないと、やはりわかりません。

(手話は『見る言語』とも言われているそうですね)


 だったら動画がベストかというと、特定の手話を探すこと自体が、なかなかに困難です。

 結果として、覚えたい手話を覚えるのではなく、与えられた手話を覚える感じになってしまいました。

(それが、悪いとも言い切れませんが)


 もう1つ。動画は正面から映しているモノが多く、立体的にわかりにくいということ。

(最近は、多方向から表現してくれる動画が増えました)


 実をいうと私は、スマートフォンを安いプランで契約しているので、そもそもあまり動画は見られないという弱点があるのです。

 いや、それよりも大きな問題……というか疑問が、動画を見ているうちに、浮かんで来ました。

 それは、同じ言葉なのに、紹介している人によって、違う手話があるということ。


 例えば『おはようございます』という手話があります。

 ある人は、平手を右側頭部辺りから、2~30センチほど前に出して表します。

 ですが、別の人の動画では、握りこぶしを右コメカミ近辺へと持っていき、その状態のまま拳を下ろします。次に、両手の人差し指を左右で向かい合わせるように立て、人差し指だけ挨拶するように、九十度折り曲げる。


 あまりにも、違いすぎて、わけがわからなくなりました。

『水』や『火』という簡単な手話でも、人によって違うようです。

 どちらかの動画が間違っていて、どちらかが正しいのでしょうが、いまはわかりません。


 とりあえず『同じ言葉で違う手話』に関しては、保留にしました。

 それ以外の言葉だけでも、とんでもない数の手話があるのです。いまは気にしない方が良いのでしょう。


 手話のイラストなどを見て、真似てみる。

 手話の動画を見て、真似てみる。

 ときどき、同じ意味でも、違う手話が出て来ます。

 気にしないと決めていたのに、どうしても気になってしまう。

 もしかしたら、手話はいくつも種類があるのでしょうか?

 誰か、手話をやっている人がいたら聞けるのですが、残念ながら周りにはいません。


 自分のやっていることが、正しいやり方なのか、全くのムダね(何か勘違いしている?)事をしているのか。

 そればかりが気になりました。

 自分でも、モチベーションが下がっていくのを感じます。このまま私は、手話をあきらめてしまうのでしょうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る