第48話 言語聴覚士(医療)

 言語聴覚士という言葉だけ聞いても、いま一つわからないのではないでしょうか?

『言語』と『聴覚』なのだから、話すことや聞くことに関係しているのは、だいた予想が出来るとはおもいます。


 私が言語聴覚士の事を知ったのは、とある本を読んでいてのことでした。

 その本(ノンフィクション)の中で、言語聴覚士という職業の人は、片耳難聴の患者の、学校で座る位置について、学校の教師と共に悩んでました。

 またあるときは、難聴の方が仕事先で上手くいかない悩みを聞き、アドバイスしたり。就職に際して、どの程度まで聞こえにくいかを伝えるべきか、共に話しあったりしていました。

 その方は、突発性難聴の方のリハビリにも関わっているようです。更に、人工内耳の調整まで!

 どうやら老化による飲み込みの障がいや、はては事故による言語の障害まで、多岐にわたっていました。

 これが1つの資格とは、考えられない範囲の広さです。


 現在の国家資格としての言語聴覚士は、1997年と最近になって出来たものです。

 現在、言語聴覚士は4万人ほどいますが、1971年にはその元となる言語聴覚士(国家資格ではない)の養成が始まっています。

 国立身体障害者リハビリテーションセンターにて。


 実は言語聴覚士の成りたちは、いまと違って『急速な高齢化社会の到来』に言語聴覚士が必要だという考えからでした。

 1997年12月に国会で『言語聴覚士法が制定』されています。


 では、具体的に言語聴覚士とは何なのか?

 簡単に言うと、口や耳に関する異常を、なるべく正常に戻す。もしくは、異常を治せない場合は、その状態で日常生活が出来るように、支援する専門職です。

 おおざっぱ過ぎると、感じたかもしれません。ですが、本当に範囲が広すぎるのです。


 例えば『口』に関することだと、『話せない』人がいたとしましょう。話せない原因は、色々あります。

 声が出にくい(音声障がい)場合もあれば、発音がはっきりしない(構音障がい)場合もあるし、原因が肉体なのか脳なのか、様々な要因が考えられますよね。

 いわば、その全てが言語聴覚士の範囲と言えるのです。


『問題の本質や発現メカニズムを明らかにし、対処法を見出すために検査・評価を実施し、必要に応じて訓練、指導、助言、その他の援助を行う専門職』なのだそうです。


 どう考えても範囲が広すぎます。なので『内科』や『外科』のように、言語聴覚士も『後天的な難聴が得意』とか、『脳にダメージを受けたことによる言語障害のリハビリ専門』など、得意が分かれているようです。

 調べた限りでは、オールマイティな方はいません。


 生まれつきと、事故や老化によるものでは、対応や回復も全く違います。より専門的な指導やリハビリとなると、言語聴覚士とはいえ、自分の専門外では『訓練、指導、助言』など、適切な対応が困難です。


 言語聴覚士は1人だけで活動することもありますが、やはりメインは他部門の方々との連携です。医師・歯科医師・看護師・理学療法士・作業療法士などの医療専門職、ケースワーカー・介護福祉士・介護支援専門員などの保健・介護・福祉専門職、教員、心理専門職など、様々な方々と共に活躍しています。

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