第47話 要約筆記(国家資格)
聴覚に障がいを持つ方が、授業でノートテイクのサポートを受けている姿を、見たことのある方はいるかもしれません。
では、具体的にノートテイク(要約筆記)って何なのか? について、少し書いていきたいと思います。
ろう者の方のために、手話通訳が手話で伝える。
これは正しいことのように思えますが、ろう者の誰もが、手話を使えるわけではありません。文字によりコミュニケーションをとる方もいるのです。(中途失聴者など特に)
実は、このことに気がついて『要約筆記』が誕生したのは、1960年代と言われています。
要約筆記者は、聞いたことを書くだけなので、簡単だと思っている人がいます。ですが、そう簡単ではありません。
『話すスピード』と『書くスピード』では、話す方が速いですよね。パソコン入力だとしても、これは同じです。
では、話している内容を、どうやってリアルタイムで、しかも文字にして伝えるのか。
そこで出てくるのが『要約筆記』です。
話した言葉を全て伝えるのではなく、内容を要約して筆記する。だから『要約筆記』と言います。
要約筆記には守るべきルールがあります。『速く』
『正確に』
『読みやすく』
『私感を含めず』
『秘密を守る』
学校のノートテイクなどは、資格の無い方が、ボランティアとしてやっている場合が、ほとんどだと思います。ですが、本来は資格者が行うことになっています。
厚労省から出されている養成カリキュラムは実技と講義を合わせて84時間以上(必修講義44時間、必修実技30時間、選択必修科目10時間以上)。
受講後に登録試験を受け、合格者が要約筆記者として登録・活動ができます。
合格率は30%前後です。
18歳以上なら特に上限はなく、どなたでも受けられます。
要約筆記にはいくつか種類があります。
大きく分けると2つ。
ペンなどを使った筆記と、パソコンを使った入力です。
これは、人数や場所、どのような人の割合なのかにもよって選びます。
では、2つの違いについて、説明していきましょう。
1つは、ペンでノートやOHPという専用の用紙に書いていく『手書き』。
もう一つは『パソコンで入力』するものです。
手描きの場合。相手が1人の時は、書いているものを直接見てもらえばわかります。ですが、相手が複数の場合は、そうもいきません。では、どうするのでしょうか?
実は書いているものを、プロジェクターで投影してもらいます。
ロール状になった専用の用紙などもありますが、紙に書く場合もあります。
手書きは、話し言葉をいかに省略し、なおかつ正しく伝えるかが難しいところです。
パソコン入力の場合も、相手が1人の場合は、直接モニターを見てもらいます。
見る人数が増えるだけならば、プロジェクターを使います。
特殊な例として、会議や講演会など、複数の人物がやりとりをし、また複数の方が見る必要がある場合。
これは、パソコン入力ならではなのですが『連係入力』というものがあります。
複数人で要約筆記をするというものです。
例えば長い会話の場合、文節ごとにAさんとBさんが交互に入力する等。
発言者が複数の場合は、担当を決める場合もあります。
【例】要約筆記A 佐藤氏、鈴木氏
要約筆記B 山崎氏、早川氏
要約筆記C 森氏、山本氏
※ 専用のソフトもあり、他の要約筆記者との連携が取りやすいように、工夫がされています。
簡単に書いてきましたが、要約筆記は大変な集中力が必要になります。責任が重大なこともあり、そのため資格を取ることが大変になっているのです。
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