第二十八話 三人目!?


場所は変わって王都の端にある教会近くの森。

ここの教会は中心部にあるものと違って人が少なく、更にその奥の森ともなれば人がいることすら珍しいので、今回のように人目を避けたい時には打ってつけの場所となっている。



「さっそく蘇生してみるか……」



とりあえずリノを蘇らせた時にみたいに心の中で念じればいいのかな?多分反応してくれるとは思うんだけど……。



「我はまだ納得しておらぬからな!」



傍らでリノが怒っている。色々と説得したおかげで最初よりも落ち着いてはいるが、それでもまだまだご立腹のようだった。



「まぁまぁ。さっきクルエラにも聞いたけど昔は一緒に戦ってたんだろ?変に知らない奴を蘇生したり、王都の冒険者をパーティーに誘うよりは絶対にそのヴェルって人を蘇生した方がいいと思うんだけど」



「うーぬ……確かに我はヴェルと共に戦ったこともあるが、それとこれとは話が別じゃ!」



喚くリノにクルエラが言う。



「でもリノ、ヴェルがいないとその魔術が解けない……」



「ぐぬぬ……た、確かに………」



どうやらリノの腕にある黒い鎖はヴェルなしでは解除できないということらしい。俺としては解除しなくても強すぎるので問題ないんだが。というか解除してしまったら大変なことになりそうなんだが。

廃村でのゴブリンたちの悲劇をまだ忘れてはいない。フルパワーの状態だったら町一つは簡単にぶっ壊せるんじゃないのか?



「それに、ヴェルはリノのこと好きだって言ってた」



追い打ちをかけるようにクルエラが言う。リノはポカンと口を開けながら信じられないと言わんばかりに聞き返した。



「そ、それは本当か?我は一度もそんな言葉、耳にしたことないんじゃが……」



「間違いない……」



「うぅむ……にわかには信じられぬが、お主が言うのであればそうなのじゃろう」



腕を組んで顔をしかめるリノに「じゃあ蘇生するぞ?」と聞くと、彼女は少し不服そうに首を縦に振る。



「うむ……まぁ、よいじゃろう」



よし、話も決まったことなのでさっそく心の中で念じてみよう。


──いでよ!【天再葬蘇リバイヴ・ディー】!



『蘇生する対象の名をお伝えください』



うん、ちゃんと反応してくれるみたいだな。あとはその名を口にするだけ。ちなみにクルエラには蘇生が完了したタイミングでローブを生成してもらうように頼んである。また全裸で出現されても反応に困るからな。



「ヴェル!」



『対象名を取得。ヴェルを検索します』



しかし、相変わらず無機質な声だな。

そういえば【天再葬蘇リバイヴ・ディー】以外のスキルもこうやって意思疎通とか出来るんだろうか?どうなんだろ?


呑気にそんなことを考えていた時だった────。



『────失敗しました。該当する名が千を超えると検索できません』



「げっ」



思わず変な声が出てしまった。なんてこった!

該当する名が千を超えると検索出来ないって、予想外の事実だ!いや、よくよく考えればある程度の予測は出来たのかもしれないけど……。

膨大な検索量が出たということは、ありきたりな名だと蘇生は不可能ということか。またひとつ、【天再葬蘇リバイヴ・ディー】に対しての知識が増えたな。



「……どうしたの?」



一向に蘇生しない俺を見かねて、クルエラが不思議そうに聞いてくる。俺は少し申し訳なさそうに首を振った。



「なんか……ヴェルって名前が多すぎて検索できないみたいだ」



「……そう」



「ふっふっふ、そう落ち込むでない!」



リノが俺の肩をポンと叩いてくる。軽くしてるつもりかもしれないが地味に痛いんだぞ?



「うーん、どうしたもんかな」



蘇生できると思ってたけどまさかの展開だ。実はこの後のことは何も考えていない。どうする?誰か違う人を蘇生するか?それともパーティーを諦めるか?

クルエラやリノの実力が桁違いだから、普通の冒険者を加入させるのは流石にまずいよな。こういう時に無計画すぎる自分が嫌になる。



「そういえば、悪魔は名の後ろにもう一つの名があった気がする……」



ポツリとこぼれたクルエラの発言。それはつまり、ヴェルを蘇生することはまだ可能だということだよな。



「そのヴェルって悪魔はかなり有名だったのか?」



「……わからない」



「うーん、かなり名の知れた悪魔だったら文献に残ってそうなんだけどな」



その昔、村の冒険者が持っていた本を読ませてもらったことがある。そこには現時点で確認されている悪魔や伝承によって伝えられてる危険な存在の名が刻まれていた。確かあの本の表紙に描かれていた模様、イーリス教のマークだった気がする。



「とりあえず色々と調べてみるか。教会に悪魔の本が置いてることを願おう」



リノがこれほど恐れている悪魔だ。流石に歴史の波に埋もれるような弱い悪魔たちとは違うと思う。懸念がないと言えば嘘になるが。



「丁度近くに小規模だけどイーリス教の教会があるから、まずはそこから調べてみようか」



「わかった…」



クルエラは頷き、隣のリノは興味なさげにあくびをする。

分教会だけど信徒のおじさんとは面識があるからな。色々と聞いてみよう。

そう思い、教会のほうに足を向けた時だった────



「よぉ、カイン。探したぜ?」



聞きなれた声。怒気を孕んでいるのかその語尾は少し荒々しかった。もう、見なくても分かる。この声はあいつだ。



「ジルベルト……!」


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蘇生スキルで世界最強へ! 〜無能だと思っていたスキルが進化して最強に!?蘇生した仲間の能力を使えるって!?俺はこのスキルで冒険者ライフを楽しんでいこうと思う!〜 @coooool2580

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