第11話 ここでの話
「ねえ、みんなはこの話知ってる?」
「何の話?」
「誰にも言わないでね?」
「絶対だよ?」
「うん!言わないってば!!」
「似てる話があったから言うだけだよ」
「うん、教えて!!」
「ある日、鏡で見た自分の顔が知らない人の顔になっていて、」
「その鏡の上にある大時計が光り始める。」
「そこから、人が出てくる。」
「その人が追いかけてきて、」
「捕まったら殺されちゃうの。」
「バラバラにされて喰われるんだって。」
「怖いよね」
「なにそれ」
「確かに似てるね」
「うん」
「不思議なくらいに似てる。」
「もしかして、私たち喰われるんじゃ……」
「捕まったら殺されちゃうの……?」
「うん、そうかもね」
「嘘でしょ」
「……そのうち私たちも死ぬのかな、?」
「怖、無理。」
「早く逃げようよ」
「逃げたらなにされるかわかんないよ?」
「……でも、逃げる。」
「逃げるって、どこに?」
「現実に、戻りたい。」
「戻りに帰る。」
「そんなことしたら殺さるに決まってる!」
「でも、やってみようかな」
「……いつ?」
「明日。」
「そうは言っても、どうやって戻んの?」
「最初に来たあのトンネルから。」
「あそこトンネルだったんだ……」
「よくあのトンネル見てるから分かるよ。」
「私たちみんなは、あのトンネルから来てるってこと……?」
「うん、だから戻れると思うんだよね」
「確かに」
「明日、生きて帰ってこれるようにね。」
「……うん、わかった。」
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