第2話 鬼ごっこ
「僕はね、君みたいな人が嫌いなの!」
「急になによ、うるさいから黙って!!」
「黙る?それはお前のほうだろ」
「……。」
「よおし、みんな集まったことだし、」
「さっそく始めるかあ!」
幼い声でその子が言う。
だけど、表裏が激しすぎる。
闇があるというか、
幼い声から変わる低い声が怖い。
幼い声も、なんだかわざとらしかった。
なんか、あんまり子供って感じはしない。
それは最初から分かっていた。
キャラ作ってんだなって感じがすっごいする。
なんか逆に尊敬しそうになる。
ずっとそのキャラでやっていけるのが本当にすごいと思う。
恐らくこの子は子供じゃない。
それだけはよく分かる。
本当になんとなくだけど、
この子はみんなを操っている。
「そこ、なにしてるのお?」
「ほら、僕のお話をちゃ〜んと聞いてね!」
「……。」
「みなさんはよくここへ来れました!」
「ここにいる数百名は人質です!」
「みんな頑張って逃げてねえ〜!!」
「まあ、適当に選んだだけなんだけど、」
「選んでもらえただけ幸せだと思いなね?」
「さあ、鬼ごっこ開始〜!」
鬼ごっこっていうのは、なんだか子供っぽい感じがする。
やっぱり子供なんだな、とも思ってくる。
数百名で逃げるのか。
半分は捕まりそう。
鬼ごっこの醍醐味だよね、
鬼の足は速かったり遅かったり。
速い人が来たときは全速力で逃げてたなあ。
「ってか……」
「鬼はどこなの?」
「え、鬼は?」
周りが騒ぎ出す。
「へへへっ」
「鬼は、自分で探すの!」
「……は?」
「だ~か〜ら、探すの!!」
「は?鬼から逃げるのに、自分で探すわけ?」
「馬鹿しかやんないよ、そんなこと」
「酷ぉい!」
「僕だったら速攻探すなあ」
「鬼を誘導して檻の鍵掛ければいいのに!」
「好きなお願い叶えてあげるからさ!」
「許してよお!」
「……。」
「願いが叶う?」
「そんな、そんな馬鹿げたこと言わないでよ!」
「馬鹿げたことじゃないよお?」
「僕は本当のことを言ってるの!」
嘘でしょ、!
「お化け屋敷に、」
「行・っ・て・ら・っ・し・ゃ・い」
ガタン
床が開き、下に落とされていった。
それと同時に、体の中の内臓が動くような、
ひゅっとした感覚があった。
それがまた気持ち悪くて、
落ちた先は、真っ暗だった。
ランタンの光が余計怖くて、
恐怖でしかなかった。
「1日が終わります」
「直ちに戻りなさい」
「広場へ戻りなさい」
「え、まだ落ちたばっかりなのに」
「戻んなきゃなんねえのかよ」
そんな、たくさんの人の声が聞こえる。
「あ、帰ってきたんだね」
「う~ん、30人はいなくなったかあ」
「でも、まだたくさんいるし、いっか!」
「みんな、鬼は見つけられた?」
「過去へ戻るか、未来へ行くか。」
「君たちがもし逃げ切ったら、」
「逃げ切ったその全員に過去か未来への地図をあげるよ!」
「頑張って逃げてねえ!」
「それじゃ、今日はここで、閉鎖するねえ!」
「明日、また来い」
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