#12.5 新たな依頼

あの事件の後、俺たちの事務所は正式に事務所として登録された。

そして今は月に三~四回は依頼が来るようになった。

大抵は私事。ものを探してくれだの、護衛だのそんな感じ。

割と平凡な依頼が多かった。

しかし、今日来たものは結構大型の依頼だった。

最近外付けした、インターホンの音がする。

「ネイジー、ラック、依頼人来たぞ」

その声に反応した二人が、玄関先にやってくる。

そしてドアを開けた。



依頼人は30代の女性。

すこしやせ細っている。体調が心配だ。

「それで…ご用件は何でしょう?」

「実は…」

女性は話し始める。

内容はこうだ。

女性は美術館の館長を務めており、もうすぐ展覧会があるという。

だが家がお金持ちなこともあり、時々美術館に強盗などが入るという。

今までは警察が対処していたのだが、遂に強盗殺人で死者が出たという。

で、展覧会には今までで一番高価な絵画が展示される。

それが奪われるのだけは何としても避けたい、とのこと。

だから、戦闘ができそうな俺らに頼む…と。

なるほど。

「それ俺らが死ぬ危険性ありません?」

依頼人が言葉に詰まる。

無理もない。だって死者いるもん。

「ですが、今回の依頼だけはどうしても受けていただきたいんです!あの絵画はとても大切なもので…」

俺たちは顔を見合わせる。

「ラック、ネイジー…どーする?」

「依頼を受けたからには…」

「まぁ、私たちがやるしかないよねぇ」

「だよなぁ…俺らがやらねぇとだよなぁ…」

死者が出たということは、警察も動く可能性は低い。

とすれば…


「わかりました。俺たちがその依頼、引き受けます」

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